※評価項目を整理し直したので2014/06/30公開の記事を再掲※
始まるのがだいぶ遅くなってしまった。
その『コントロール』を担うのは『コントロールアプリ』である。
よって、コントロールアプリはネットワークオーディオにおいて極めて重要である。
音源の管理編集、ライブラリの構築、サーバーとプレーヤーの選定と運用。
そして、快適な音楽再生の決め手となる最後のピース、コントロールアプリ。
【ネットワークオーディオ】は、まさにコントロールアプリをもって完成する。
LINN DSからLUMINに乗り換えて、常用アプリもChorusDSからLUMIN Appに乗り換えたことで、また色々なものが見えてきた。
【音源管理の精髄】の各アプリの検証記事も掲載から2年以上が経ったので、このあたりで再検証をしておきたい。
再検証の結果は既存の記事を更新する形で掲載していく。
→やっぱりあらためて記事を作成することにする。
また長丁場になりそうだ。
さて、私はコントロールアプリに対する無責任な評価が大嫌いである。
「レスポンスが良く快適に操作できる」
「直感的でわかりやすい」
「ストレスのない使い勝手を実現している」
メディアに踊るこの手の文言は枚挙に暇がない。
しかし、私は疑い深い。
「ホントかよ!」と思わずにはいられない。
その評価を下すに到った理由/情報があまりにも少ないからだ。
ということで、この手の評価/判断をする以前の部分、ネットワークオーディオにおける“機能”を各アプリごとに徹底的に検証する。そのうえで最後に、私なりの評価を行う。評価や解釈は個々人が勝手にすればいいが、機能、すなわち“何が出来て何が出来ないか”という事実は厳然として覆しようがない。それを踏まえずして評価も何もあったものではない。
以下に、今回設定した検証項目をを示す。
様々なハードとソフトを試した今までの経験から、2014年現在で考えられる要素を網羅したつもりではある。2012年の検証から検証項目も増えている。
すべてのアプリに適用できる基準になるようにと考えたが、さらに加えるべき項目があれば是非指摘してほしい。
基本情報
・製作
誰がアプリを作ったのか。
メーカーか、サードパーティーか。
・汎用/専用
汎用とは、DLNA/UPnPに対応した機器ならば広範に対応できることを示す。
専用とは、特定のハード、あるいはソフトでないと機能しないことを示す。いわゆるメーカー純正アプリや、JRiverに対するJRemoteなどがこれに当たる。
・対応OS
iOSか、androidか、あるいは両対応か。
・スマホ/タブレット
どちらのインターフェースで使用するアプリなのか。
スマホ用とタブレット用でアプリが別々に用意されているのか、それとも一つのアプリで両対応しているのか。
・縦画面/横画面
画面にあわせてインターフェースも回転するかどうか。
なお、基本的に検証はタブレットの場合は横画面、スマホの場合は縦画面で行う。
・価格
為替の関係で上下はあるが、一応。
機能――○か×か
・再生
明示的な再生ボタンの有無。
・一時停止
明示的な一時停止ボタンの有無。
・停止
明示的な停止ボタンの有無。
一時停止ボタンがあれば実質的に不要ではある。
・曲送り(スキップ)
プレイリスト上の前、あるいは後ろの曲へスキップ出来るか否か。
・シーク
タイムバー的な表示を有し、再生中の曲の任意のポイントにシーク出来るか否か。
・ランダム/シャッフル
ランダム/シャッフル再生が出来るか否か。
・リピート
リピート再生が出来るか否か。
・音量調整
何らかの音量調整機能を備えているか否か。
同一メーカー製品との組み合わせによるアナログボリューム連動か、あるいはデジタルボリュームによる音量調整かは問わない。
・ミュート
明示的なミュートボタンの有無。
・プレイリストでの再生管理
アプリ内のプレイリストで再生する曲を管理し、アルバム単位に制限されない再生が出来るか否か。
・プレイリストの保存
任意に作成したプレイリストをアプリ内に保存出来るか否か。
・ブラウズ時のタイル表示
ブラウズ時、リスト表示だけでなくアルバムアートのタイル表示も出来るか否か。
タイル表示とは要は「田」のように画像が並ぶ様。これが出来ると視覚的な情報量が一気に増え、選曲が非常に楽しくなる。
・音源の検索
サーバーソフトが提示するナビゲーションツリーだけでなく、アプリ内で独自に音源を検索する機能があるか否か。
・アルバムアートの拡大表示
ブラウズ時のサムネイル表示だけでなく、何らかの形で画面に大きくアルバムアートを表示出来るか否か。
・アルバムアートの縦横比維持
アルバムアートの縦横比が異なる場合、ブラウズ時・拡大時にきちんと縦横比が保たれたまま表示されるか否か。
・高解像度対応
インターフェースや各種操作ボタンが高解像度のディスプレイに対応しているか否か。
アルバムアートを拡大表示した際、妙なリサイズ等の処理をせず、きちんと画像本来の解像度で表示されるか否か。
・音源のスペック表示
現在再生中の音源のスペック(コーデック&サンプリング周波数/bit数)が表示されるか否か。
・機器の入力切替
入力の複数ある機種の場合、入力の切り替えが出来るか否か。
音楽を聴くだけならば割とどうでもいい機能。
・電源のオンオフ
機器の電源オンオフが出来るか否か。
これも割とどうでもいいかもしれない。
・機器の再検索
ネットワークに接続されているプレーヤー・サーバーを再検索し、情報を更新する機能を有するか否か。
なくても困るものではないが、あれば間違いなく便利である。
・接続のロック
一旦アプリを落として再度起動した際、今までコントロールしていた機器に即座に接続されるか否か。
つまり、アプリの起動のたびにいちいち機器の検索と接続を要するかということ。
・その他の機能/特記事項
何かあれば。
評価項目
私の主観が入るのはここから。
以下の記事も参照。
コントロールアプリの基本要素
コントロールアプリのインターフェース/デザインはどのようにあるべきか
・インターフェース/デザイン
情報の一覧性、各種操作ボタンの配置、全体から滲み出るホスピタリティ。
端的に言って、分かりやすいか。直感的に使えるのか。本当に快適なのかどうか。
・再生画面
音源を再生する、停止する、スキップする、といった日常的な動作がいかに洗練されているか。
音源の情報表示や、再生中のアルバムアート表示関連の挙動もここに含める。
・プレイリスト
曲の追加、曲順の入れ替え、任意の曲の削除等、プレイリスト周りの挙動がいかに洗練されているか。
ブラウズから再生したい音源をプレイリストに登録する際の挙動はこちらで評価する。
・ブラウズ
ライブラリを巡って聴きたい音源を見つけるという日常的な動作がどれだけ快適に行えるか。
基本的にサーバーソフトの提示するナビゲーションツリーに依存する部分ではあるが、それをどう料理するかはアプリ側の裁量である。
・機器の選択/その他の機能
使用する機器をさっさと選べるかどうか。
コントロールアプリの基本要素ではあるものの、これだけでは評価項目として地味なので、音楽再生をより楽しく快適にするその他の機能もここに含める。
・安定性
アプリが頻繁にクラッシュするようなことなく、安定して使えるかどうか。
接続のたびに機器が行方不明になるようなことはないか。
・動作レスポンス/速度
操作へのレスポンス、スクロールの滑らかさ、アルバムアート表示に要する時間など。
速度については同一環境・同一条件で所要時間を計測し、それをもって速いか遅いかを決める。
速度計測についての詳細は別記事にて。
以上の7項目について3段階で評価を行う。
3:優秀
2:及第点/特記事項なし
1:問題あり
総合評価
タブレットアプリは最終的な評価を5段階で行う。
5:素晴らしく快適
4:よく出来ている
3:常用に耐える
2:あえて使う必要はない
1:論外
スマホアプリは評価を3段階で行う。
これはタブレットほど完成度の差が大きくならないと判断したため。
3:快適
2:常用に耐える
1:落第
最後に、アプリに対する個人的な所感も。
ちなみに今回は動画も撮る。
検証はこんな感じで行う。
欲を言えば、世の中のあらゆるコントロールアプリの検証を網羅的に行いたいくらいだ。
しかし、特に検証したい“メーカー純正アプリ”は、多くの場合各メーカー製品の専用アプリとなっている。実際のユーザーでなければ検証のしようがない。
そこで、実際のユーザーの方々にも是非検証してもらいたいと思っている。上記の検証項目はそのためでもある。
同一基準による徹底的な“事実”の検証を行って各アプリの問題点を炙り出し、さらなる改善と洗練を期待したい。それはユーザーの利益に直結し、最終的にはオーディオ業界の為になる。
私は【ネットワークオーディオ】という領域にもっともっと進歩してほしいのである。