参考になるかもしれない備忘録。
私は基本的にCDをリッピングする際、「ディスク1枚につき1フォルダ・1アルバム」という方針だった。例えば3枚組のCDだったら「Album Title Disc 1」「Album Title Disc 2」「Album Title Disc 3」のような形である。こういうのが自分ルール。
その結果として、私のライブラリはこんな感じになっていた。
特にゲームのサントラは複数のディスクで構成される場合が多い。よって「ディスク1枚につき1フォルダ・1アルバム」とすると、上の画像のようにアルバムがディスクごとに分散し、その分だけ同じアルバムアートが並ぶことになる。
形のないデータとは言え、その元となったCDの存在を記憶していたい私にしてみれば、これは大した問題ではなかった。
「あのアルバムのあの曲を聴きたい」となった時、そもそも私は「あの曲はあのアルバムの○枚目の○曲目」という記憶に基づいてブラウズをしていたため、選曲においてもまったく問題はなかった。
つまるところ、実用上は何の支障もなかったのである。たとえ見た目がイマイチだったとしても。
が、ふとしたきっかけで気が変わった。
「ディスクに縛られない自由かつ快適な音楽再生」云々を標榜しておきながら、ライブラリがこの状態では「まだ縛られてる」と言われても仕方がない。
結局私も未だにポリカーボネートの塊に魂を引かれていたのか……などと思いつつ、複数のディスクから成るアルバムも、「一つのアルバム」としてまとめることにした。
こう書くと何やら妙に聞こえるが、ここで言う「一つのアルバム」というのはあくまで『タグ』のアルバムタイトルを指す。
何せ今までずっと「ディスク1枚につき1アルバム」でもってライブラリを構築してきたので、今回はそれなりに大きな方針転換と言える。
ただ、ここである不安が生じた。
「ディスク1枚につき1フォルダ・1アルバム」という方針に基づき、既にCDはすべてリッピングしてしまっている。アルバム内の曲順を司る「トラックナンバー」も、あくまでディスク単位で既に振られてしまっている。要するに、「アルバム全体の○曲目」ではなく、「アルバムの○枚目の○曲目」という風に管理されている。
この状態でアルバムタイトルに付加された「Disc1」だの「Disc2」だのを消して一つにまとめれば、トラックナンバーのことだけを考えると曲順が錯綜してアルバムの秩序が崩壊することになる。
もちろんタグには「ディスク」、要するに「○枚目」という項目も存在し、それぞれ付加してはいる。
この「ディスク」がうまいこと機能し、アルバム内の秩序が保たれるのなら何の問題もない。
しかし、「ディスク」がソフトの側でスルーしてしまう種類のタグだった場合、アルバムタイトルを集約したうえで、かつライブラリの崩壊を起こさないためには色々と手を打つ必要が出てくる。
要するに、めんどくさいことになる。
やってみないことにはわからない。
というわけで、検証である。
サンプルとして3枚のアルバムを持ってきた。
ディスガイアとファントムブレイブと聖剣LOM。
いずれも2枚組のアルバムで、見ての通りフォルダも6つ、タグに基づくアルバムも6枚、ということになる。
確認したいのは、それぞれのアルバムタイトルに付加された「Disc1」「Disc2」等の表記を消して「一つのアルバム」としてまとめた際、アルバム内の曲順がどうなるか、である。
まずはいじる前にタグの確認。例としてLOM。
dBpowerampとMediaMonkeyの双方で確認する。
「Disc」・「ディスク」に注目。ここが空白のまま進めると地獄を見る。
この状態から、アルバムタイトルを「聖剣伝説 Legend Of Mana」にする。他のアルバムについても同様。
そのうえで、どうなるかを見る。
あえてマイナー? なサーバーソフトを使ってみた。
・Asset UPnP
おっと、これは……
気を利かせてディスクごとに分割してくれている。
ありがたいと言えばありがたいのだが、今回ばかりはありがた迷惑である。
(もっとも、Asset UPnPはこの辺の挙動を柔軟に設定可能である)
・MinimServer
なるほど。
MinimServerはトラックナンバーをディスクをまたいで続ける仕様のようだ。
なお、ファントムブレイブは13の「ともだち」が、聖剣LOMでは24の「Pastoral」がそれぞれ本来であれば2枚目の1曲目ということになる。
とりあえずアルバムの曲順は保たれている。
・foobar2000 UPnP Server
ふむ。
タグに基づいて、ディスク2枚目になると再びトラックナンバーが始まる仕様のようだ。CDの存在を記憶していたい私にとってはこちらの方がありがたい。
ただ、トラックナンバー101だの201というのが少々気になる。頭の数字はディスクナンバーのことだろうし、わかりやすいといえばわかりやすいのだが、なんというか……
と思ったら、foobar2000 UPnP Serverでは必ずしもこうなるというわけでもないようだ。
ディスガイアでは単に1からトラックナンバーが始まっている。
はて。
そういうことか。
ま、細かいことは気にしない方向で。
ちなみに、みんな大好きTwonky Serverでも、LUMIN L1の中身のサーバーでも、きちんと「ディスク」が機能した。やったね。
パッと見両者の表示仕様は同じで、ディスクごとにトラックナンバーが始まり、かつfoobar2000 UPnP Serverのような表記のブレはない。
いずれにしても、何ら支障はない。
ん?
アルバムタイトルにせよトラックナンバーにせよ、タグを付加していない場合はどうなるかって?
そんなもん知るか。
さて、無事曲順を維持したままアルバムタイトルの集約に成功したわけだが、フォルダは相変わらずディスクごとになっている。こんな具合に。
が、フォルダに関してはこのままでいい。
タグベースのアルバムタイトルは一つにまとめるにしても、フォルダベースの管理なら現状の方がやりやすい。どのみちソフトの側から音源を編集すればフォルダが分かれていようと関係ないし、なによりCDの記憶がフォルダの形でも残る。
そう、CDの記憶である。
「Yessongs」はCD2枚組である。
Roundaboutは1枚目の最後なんだよなあ、Yours Is No Disgraceは2枚目の4曲目で異様なテンションで最高なんだよなあ、という確たる記憶が存在する。
一方で、HDtracksからダウンロードしたハイレゾ版は最初から「一つのアルバム」として、トラックナンバーも通し番号となっている。
デジタルファイルとしての音源にディスクも何もあったものではないし、当然と言えば当然である。
結局ディスクに魂を引かれているということの証左なのかもしれないが、このCDにまつわる記憶もまた、私にとって「音楽との繋がり」に他ならない。
大切にしたいものだ。
せっかくなので、ライブラリ構築における自分ルールもこの際に色々と改定した。
・ディスク分けの廃止。今回のメイン。
・サントラの類はアルバムタイトルから「Original Sound Track」的な表記を外し、基本的に作品タイトルをそのまま使うことにする。なくても別に困らない。
サントラ自体に固有のタイトルが付けられている場合や、第1弾・第2弾などそもそも別のアルバムである場合はその限りではない。
・同一のアルバムで複数のバージョンがある場合、区別のため、例えばリマスターCDにはタイトルの末尾に[Remaster 2009]という感じで文言を追加することの明確化。
ハイレゾには[Hi-Res]と追加する。以前は192kHz/24bitという風にスペックを書いていたが、悪しきスペック主義に思えてきたのでやめた。
・アルバムが1枚しかない場合、ハイレゾ音源だったとしても[Hi-Res]とは追加しない。
いちいちハイレゾだの何だのと意識するのも馬鹿馬鹿しい。
というわけで、色々と手を加えて、こうなった。
なお俺屍の修正が漏れている模様。
前述のとおり、私の選曲方法ではこうしたところで別に便利になったりもしないのだが、見た目がすっきりしたことだけは確かである。
続編的な記事:
フォーマットによるディスクナンバーの扱い サーバーソフト編
フォーマットによるディスクナンバーの扱い 再生ソフト編
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】