【2017/02/01追記】
OpenHomeに対応したプレーヤーでも、Kazooでは操作できない場合がある模様。
一言で「OpenHome対応」と言っても、実際には実装の仕方やら何やらで結局一枚岩ではないようだ。まったく……
というわけで、以下の「Kazooを使ったプレーヤーがOpenHome対応か否かを確認する方法」は必ずしも成立するものではなくなってしまった。
記事自体は記録として残しておくが、プレーヤーがもし「OpenHomeには対応するがKazooが使えない」場合、現状ではKinskyやBubbleUPnPといったUPnP/DLNA・OpenHome両対応のアプリを使い、ギャップレス再生やアプリ終了時の再生継続といった各項目を地道に試して確認するほかなくなった。
もちろん、Kazooが使えたなら、それは一発でOpenHome対応を意味する。
一応、ページ下部のPlugPlayerを用いた実質的な確認方法は今でも機能する。
しかし、PlugPlayer自体の開発・更新が終了して久しく、公式にOpenHome対応を謳っているわけでもないため、確度の面で不安が残る。
【2017/11/13さらに追記】
iOS11になり、PlugPlayerが使用不能になった。
これにより、PlugPlayerを用いた確認方法は実施できなくなった。
【追記おわり】
ちょっと思うところがあったので書く。
方法はものすごく簡単。
Linn Kazooのプレーヤー選択欄に表示されれば、(実質的に)OpenHomeに対応している。
単純な話で、Linn Kazooは「OpenHomeに対応するプレーヤーでしか使えない」からだ。
もし自分が使っているプレーヤーがUPnP/DLNAベースで、ライブやクラシックなどの本来繋がるべき曲で曲間に途切れが生じたり、早送りも早戻しもできなかったり、端末がスリープになった途端次の曲が再生されなくなったり、使うアプリを変えた途端ギャップレス再生もOn-Device Playlist/オンデバイス・プレイリストも機能しなくなったりするようなら、上の方法を試してみるといい。
きっと、「あぁ、やっぱり……」という気分を味わえる。
「OpenHomeに対応・準拠すること」は、「まともな音楽再生機器であること」をかなりの部分で保証してくれる。とりあえず、まともなアプリでまともに動く。
昔は一つ一つのプレーヤーについて厳密に検証する必要があったが、UPnPがベースのプレーヤーであれば(※)、今では「OpenHome対応か否か」でほとんど決着してしまう。楽な時代になったもんだ。
「UPnP/DLNA対応」は謳いつつ、「OpenHome対応」を謳っていないプレーヤーは、つまり、そういうこと。
(※そもそもUPnPを使っていないプレーヤーはまた別の話)
残念でした、としか言いようがない。
ただ、たとえ悲惨なユーザビリティを引き当ててしまったとしても、それを甘んじて受け入れる必要も、怒り心頭で既に買ってしまったプレーヤーを滅却する必要も、ネットワークオーディオそのものに絶望してアンチになる必要もない。
決して完全ではないものの、解決策は存在する。
もしプレーヤーがOpenHomeに対応しているのなら、メーカーは声を大にしてそれを謳うべきだ。
少なくとも日本国内においては、(今のところ)それが巨大な強みになるのだから。
さて、ここから先は蛇足。
今のように手っ取り早くプレーヤーがまともな音楽再生機器か否かを判別できなかった時代の話とか色々。
PlugPlayerという、コントロールアプリの偉大な原器がある。
PlugPlayerはずっと昔、それこそOpenHomeなんてものが影も形もなかった頃、厳密には2010/09/28のVersion 3.3.0(だったはず)から、「プレーヤーにLINNを選択すると専用のアイコンが現れる」という謎の機能を持っていた。でもって、そのアイコンからできることといえば電源(スタンバイ)のオンオフと入力切替だけなので、別にあってもなくても困らないような、そんな機能だった。
MAJIK DS-Iを使っていた当時の私は、この現象を目にするたびに「一応PlugPlayerもDSに敬意を表して申し訳程度に作り込んであるんだな……」という程度に思っていた。
MAJIK DS-Iの後釜になり得るかどうか試すべくLUMIN A1の機能を徹底的に検証する過程で、面白い現象を目にした。
何だこりゃ。
もちろんLUMINとLINNは別物である。いや確かに筐体に関しては意識し過ぎを通り越して(以下自粛)だが、少なくとも中身、それもソフトに関しては別物である。
いったいPlugPlayerは何をどう判断しているんだ? と思ったものだ。
そして、この「PlugPlayerでLUMINのプレーヤーを選択するとLINNのアイコンが現れる」という現象の背後に横たわるものこそ、今で言うOpenHomeに他ならなかったのである。
もっとも、LUMINのプレーヤーは大部分が共通しているというだけで、厳密にはOpenHomeに準拠しているというわけではないようだが。
LINN DSやLUMINにできて、他のネットワークオーディオプレーヤーにできなかったもの。
よほど妙なアプリを使わない限り完璧に機能するギャップレス再生。
アプリを終了させてもプレイリストのとおりに再生が継続されること。アプリを終了し、再度立ち上げてもプレイリストが保持されること。アプリ間でプレイリストが同期・共有されること。これらはLUMINのスペックシートで「On-Device Playlist」と明記されているのを見つけ、意図されるものを確認するまで、私が長らく「再生中のプレイリストを機器本体に記憶/キュー」と呼んでいた機能である。
ネットワークオーディオプレーヤーをまともな音楽再生機器たらしめる様々な機能とは、端的に言ってしまえば、「LINN DSのような機能」に他ならなかった。
そしてUPnPの拡張によって実現されていた「LINN DSのような機能」は、他ならぬLINN自身の手によってオープンにされ、広く利用可能なOpenHomeというプラットフォームとして結実した。
OpenHome対応のプレーヤーを選択した際、PlugPlayerでは今もなお、LINNのアイコンが表示される。
これは「LINN DSであること」が「まともなネットワークオーディオプレーヤーであること」とほとんど同義だった時代の名残であり、歴史の証人でもある。
記事の最初のLinn Kazooを思い出してほしい。
JRiver Media CenterのDLNAレンダラー機能(素の状態)
そして……
製品ジャンルとして悲惨な時期が長く続き、とうの昔にネットワークオーディオを実践する唯一の方法でも何でもなくなってしまった単体ネットワークオーディオプレーヤーだが、それでも着実な底上げがなされ、進歩は続いている。
2012/10/18 日本におけるネットワークオーディオの現状
“結局DSを買うしかない”という状況からさっさと脱し、色んなメーカーから様々な価格帯の“機能的には全部入り”のNAPが手に入り、気にするべきは音質とブランドのみ。そして導入にあたってのノウハウも完璧に整備されている。そんな夢が叶う日はいつか来るのだろうか。
この夢が叶う日は未だ遠く、遥か彼方に霞んでいる。
ただ、スフォルツァートといった国産ブランドの製品がOpenHomeに対応したり、EsotericからOpenHome対応のネットワークオーディオプレーヤーが登場したりと、決して絵空事ではないことも確かだ。
私は今でも、夢が叶う日を待ち続けている。
そしてこの夢を叶えるために、「導入にあたってのノウハウも完璧に整備されている」という状況を完成させるべく、【音源管理の精髄】と【ネットワークオーディオTips】を書き続けている。