UPnPベースのプレーヤーとコントロールアプリには、「DLNAにのみ対応」・「DLNAとOpenHomeの両方に対応」・「OpenHomeにのみ対応」の三種類が存在する。プレーヤーとアプリの組み合わせによっては、謎の挙動が引き起こされたり、そもそも使えなかったりするので注意が必要。
と書いた。
しかし、実態があまり伝わっていないようなので、この辺ではっきりさせようと思う。
繰り返しになるが、UPnPベースのプレーヤーとコントロールアプリには、「DLNAにのみ対応」・「OpenHomeにのみ対応」・「DLNAとOpenHomeの両方に対応」の三種類が存在する。説明しやすくするために上記とは順番を変えた。
なお、この記事では業界の実情や実際のハード/ソフトの対応状況がそうであるように、UPnPとDLNAを実質的に同じプラットフォームとして扱う。OpenHomeはそれらとは異なる。
DLNAにのみ対応するプレーヤーの例
・ほとんどの国産ネットワークオーディオプレーヤー
・多くの海外産ネットワークオーディオプレーヤー
・AVアンプのネットワーク機能
・JRiver Media Centerのネットワーク機能
・foobar2000 UPnPコンポーネント
・JPLAY FEMTO
OpenHomeにのみ対応するプレーヤーの例
・SFORZATOのプレーヤー(※)
・DELA(※)
・fidata/Soundgenic(※)
・JPLAYStreamer
・TuneBrowser
※設定でDLNAとOpenHomeを明示的に切り替え可能
よってDLNAにのみ対応のプレーヤーにもなるが、そうする意味は別に……
DLNAとOpenHomeの両方に対応するプレーヤーの例
・LINN DSシリーズ(※)
・LUMINのプレーヤー(※)
・TEAC/ESOTERICのプレーヤー(※)
・SOtM sMS-200
※UPnPにも対応というだけで、OpenHome対応プレーヤーとして使うのが正しい
DLNAにのみ対応するコントロールアプリの例
・ほとんどの国産ネットワークオーディオプレーヤーの純正アプリ
・ほとんどの海外産ネットワークオーディオプレーヤーの純正アプリ
・DiXiM DMC(もうない)
・mconnect player HD
・Technics Music App
OpenHomeにのみ対応するコントロールアプリの例
・ChorusDS HD(もうない)※
・Kazoo
・LUMIN App
※OpenHome対応というよりLINN DS専用
DLNAとOpenHomeの両方に対応するコントロールアプリの例
・SongBook Lite(もうない)
・PlugPlayer(もうない)
・Kinsky
・BubbleUPnP
・fidata Music App
これらを組み合わせた時に何が起きるのか、計9通りを書いていく。
ただ、DLNAもOpenHomeも実装のレベルでは揺れ幅的なものがあるようで、以下に登場する「機能してしかるべき組み合わせ」であっても、いざ試してみると使えない(コントロールアプリのプレーヤー選択に現れない)場合があり得る。
OpenHomeではOn-Device Playlist(オンデバイス・プレイリスト)が機能するため、異なるアプリ間でもプレイリストは同期される。しかし、アプリAで作ったプレイリストをアプリBから見ると、プレイリスト内の音源の情報(タイトル、アーティスト、アルバムアート等)が表示されない場合がある。
なんともガバガバな話で恐縮だが、これがUPnPの現実である。この辺は大目に見るしかない。
1.DLNAにのみ対応するプレーヤーと、DLNAにのみ対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作可能/使える。
しかし、コントロールアプリに先立つ音楽再生時のユーザビリティの根本的な部分(安定性、レスポンス、ギャップレス再生やシークの可否など)はプレーヤー側に依存するため、DLNAの仕様そのままに実装したのではオンデバイス・プレイリストが機能しないことになり、まともな音楽再生機器として使い得るかは謎。現実として、使い得ないプレーヤーは歴史上いくつも存在した。
ただ、DLNA準拠のプレーヤーの中には、サードパーティー製の汎用アプリとの組み合わせではまるで使い物にならなくても、メーカー純正/専用/推奨アプリと組み合わせた場合であれば、優秀なユーザビリティを実現するというものもある。
2.DLNAにのみ対応するプレーヤーと、OpenHomeにのみ対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作不可能/使えない。
駄目なものは駄目。諦め…………ん?
3.DLNAにのみ対応するプレーヤーと、DLNAとOpenHomeの両方に対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作可能/使える。
しかし、肝心のユーザビリティを担うプレーヤーの仕様が変わるわけではないため、DLNAのがっかり仕様はそのまんま。
一例として、「DLNAにのみ対応するネットワークオーディオプレーヤーをDLNAとOpenHomeの両方に対応するコントロールアプリで操作するとプレイリストの途中で再生が止まるぞ!」となった時、原因はアプリではなくプレーヤー側にある。アプリの側に文句を言ったり改善を求めたりするのは見当違いである。
4.OpenHomeにのみ対応するプレーヤーと、DLNAにのみ対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作不可能/使えない。
駄目なものは駄目。
5.OpenHomeにのみ対応するプレーヤーと、OpenHomeにのみ対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作可能/使える。
言うまでもなく完璧な組み合わせ。
6.OpenHomeにのみ対応するプレーヤーと、DLNAとOpenHomeの両方に対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作可能/使える。
完璧な組み合わせその2。
7.DLNAとOpenHomeの両方に対応するプレーヤーと、DLNAにのみ対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作可能/使える。
しかし、謎の挙動が引き起こされる場合があり、プレーヤー本来のユーザビリティを発揮できるとは言い難い。
素直にOpenHomeに対応するアプリを使おう。
8.DLNAとOpenHomeの両方に対応するプレーヤーと、OpenHomeにのみ対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作可能/使える。
完璧な組み合わせその3。
9.DLNAとOpenHomeの両方に対応するプレーヤーと、DLNAとOpenHomeの両方に対応するコントロールアプリの組み合わせ
操作可能/使える。
完璧な組み合わせその4。
結局、UPnPベースでまともなネットワークオーディオのシステムを作ろうと思えば、プレーヤーとアプリの両方がOpenHomeに対応している必要があると考えていい。
DLNAであれば、まともに使おうと思えば同一メーカーのプレーヤーとアプリの純正組み合わせが必須になると考えていい。アプリだけサードパーティー製の汎用アプリを使ってもどうにもならない場合も多い。
これで純正アプリの仕上がりが悲惨だったら、もう……
もっとも、DLNAにのみ対応するプレーヤーであれば、DLNAのプッシュ再生をうまく使ったり、BubbleUPnP Serverを常時運用したりと、打つ手はある。
問題なのは、DLNAにのみ対応する、サードパーティー製の汎用アプリを気に入って使っている場合である。
将来的にアプリがボトルネックになる可能性が大きいので、乗り換えをおすすめする。
ネットワークオーディオに何を求めるかは人それぞれ。
しかし、音質だけでなく「快適な音楽再生」も望むのなら、導入するプレーヤーや使うアプリはよく考えよう。