コントロールアプリの検証 2014 『ChorusDS』
コントロールアプリの検証 2014 『ChorusDS HD』
2014年に厳密な検証を行った時点では既に更新が完全に停止しており、その後2015年にほぼ4年ぶりの更新で復活を果たしたChorusDS/ChorusDS HDが、App Storeから消滅していた。完全な消滅。再ダウンロードもできなくなっている。
おすすめのコントロールアプリを更新している最中にこのことに気付いた。(私の中で)歴史が動いた瞬間だった。
時代の移ろいにしみじみとしてしまったのでこの記事を書いている。
ついでにSongBookの記事も。
LINN DSに初めて触れた日は忘れもしない。まさにその時使われていたコントロールアプリこそ、初代iPadで動くChorusDS HDだった。
今思えば、LINN DSという優れたプラットフォームが根底にあったからこそとはいえ、真に私を魅了したのは音質以上にChorusDSがもたらす未曾有の快適さだった。「ChorusDSが使えるから、使いたいからLINN DSを買った」と言っても過言ではない。
SongBookDS、そしてChorusDSの存在が、「ネットワークオーディオの本懐は快適な音楽再生である」という私の意識を醸成した。
居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌に尽くしがたい快適さ。
これを感じさせてくれたのである。
プレーヤーとして優れたユーザビリティを担保するLINN DSと、快適な音楽再生という夢を実現するChorusDSの組み合わせは、ネットワークオーディオという市場領域が徐々に形成され後に崩壊していく中にあって、あまりにも強力な輝きだった。
コントロールアプリとして現役時代、ChorusDS/ChorusDS HDは、いかに優れたアプリが出現しようと、不動の地位を保ち続けた。
Kinsky、Kazoo、BubbleUPnP、JRemote、LUMIN App、Roon、今ではいずれ劣らぬ様々な選択肢が存在するものの、すべての要素においてChorusDS/ChorusDS HDを越えるコントロールアプリは未だに存在していないとさえ思える。
それでも時代は変わる。
とうとうChorusDSも役目を終える時が来たようだ。
さらば、ChorusDS。
ネットワークオーディオの真のメリットを心の底から感じさせてくれたコントロールアプリの存在を、せめて私だけでも記憶に留めておこう。