色々あってSOULNOTE A-2の設置に対するあまりの敏感さを思い知ってから、幾許かの時間が経った。
色々やってみたくなる病気がぶり返す時間だ。
さて、SOULNOTEは同社製品のための純正ボード「SSB-1」を用意している。
SOULNOTEの音質を最大限に引き出す専用ボード。
スパイク受けにより設置面の損傷を防止。
スパイクの位置に決め打ちで窪みが作られている、あまり汎用性のない文字通りの「専用」ボードである。しかし、「SOULNOTEの音質を最大限に引き出す」と言われてしまうと、A-2の恐るべき反応性の良さを体感している以上、気になってしまって仕方がない。A-2は設置で下手をすればすぐ死ぬだけに、これがほんとの殺し文句ってやつか。
というわけで、A-2の発売記念プレゼントでもらったSOULNOTEのバランスケーブル「SBC-1」と一緒に、えいやっと導入してSOULNOTEの純正組み合わせを試してみたのである。
まず純正バランスケーブルのSBC-1から。1.5mというのは奇跡的に我が家のシステムに必要な長さ。
決戦前に写真を撮るのを忘れていたが、いまさら頑張って作った立体交差を崩すのもめんどくさいので写真はなし。とりあえず、「物理的にやんちゃなケーブルである」とだけ言っておく。
今まで使っていた某社のバランスケーブル(五桁しないやつ)と替える。
A-2のことだからさぞ激烈な変化があるだろう……と思いきや、それほど大きな変化ではなかった。今まで使っていたケーブルも、なかなかたいしたものだったのだろう。
変化はつまるところ「解放感」の向上ということになる。よりストレスなく音が空間に放たれるようになった。ノンシールドの賜物だろうか?
ケーブルはさらりと流してボードへ。
今までの設置環境は、マホガニーのボードにリン青銅スパイク受けというもの。
しかし、今までマホガニーと思っていたこの木はあくまでも「アフリカン・マホガニー」であって、厳密にはマホガニーではないのだそうだ。まぁいいや。
なお、Sapphireの足元に使用して凄まじい効果を発揮したブビンガとは異なり、マホガニーという木材に対して何かしらの思い入れがあるわけではない。様々な用途に使えるボードを作ろうと思った時に「なんとなく」マホガニーを選んだだけだったりする。
こちらがSSB-1。光沢感のある仕上げ。ちなみに材質はカバだそうだ。
木を使ったオーディオボードとしては薄い。そして中央に大穴が開いている。
付属するスパイク。窪みに嵌めて使う。
上下二通りの設置が可能だが、SOULNOTEとしては凸の状態の音を意図しているようだ。
あまり頼もしく見えないSSB-1を防音カーペットの上にそのまま置くのもなんだか嫌な予感がするので、まずはマホガニーボードの上に置いてみる。
SSB-1の横幅は46センチ、マホガニーボードの横幅も46センチという奇跡が起こったので、重ねた見た目は悪くない。
で、音。
…………
……
ものすごーく音が引き締まって輪郭がシャープになって……硬い。
曖昧さが削ぎ落とされた結果、幾分空間の見通しは良くなったが、響きは薄まり、死にはしないまでも、聴いていて常に緊張感を強いるような音になってしまった。
うーむ。
…………
……
おぉ……意外なことに、マホガニーに直接だった時よりも低音が厚くなった。それでいて制動も緩んでいない。響きも豊か。
なにより、解放的である。重厚な低域を保ったまま、伸び伸びと音が空間が広がる。センターに定位する口の位置がかなり上がって、ちょうど等身大くらいの位置になった。
これはいい。一晩経つとスパイクとスパイク受けが馴染んだのか、さらに盤石といった感じになった。
そんなこんなで、素直にSSB-1をそのまま使うのが良かったようだ。
マホガニーと重ねると音が過剰に硬くなってしまったのは、カバとの相性的なものもあったのかもしれない。もしそうだとすれば、カバのボードを用意すれば、あるいは……
とりあえず、これで当面は、SOULNOTE A-2の設置は「気にしない」ことにする。
なんともいい具合にDynaudio Sapphireが鳴っている。この量感と弾力と歯切れの良さがあわさった低音の……快感! やはりSapphireからはまだまだ多くのものを引き出せたのだと実感している。
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