本日、e-onkyoが幕を閉じた。
e-onkyo musicをご利用いただいた皆様 - e-onkyo
日本におけるファイル再生/PCオーディオ/ネットワークオーディオの黎明期、あるいはそれよりもずっと以前から、日本におけるハイレゾ音源のダウンロード販売サイトとして最も大きな存在だったe-onkyo。特に“邦楽のハイレゾ音源”のラインナップにおいては他の追随を許さず、DXDからハイレートのDSDにいたるまで、多種多様な音源の受け皿、そして出会いの場であり続けた。
そんな「ダウンロード販売サイト」であるe-onkyoが、「ダウンロード販売とストリーミングのハイブリッド」サービスを展開するQobuzに吸収され、移行する。その様は、オーディオの世界を含む音楽業界全体がストリーミングメインになっていく流れそのものに見える。
とはいえ、
サービス終了後は、「Qobuz(コバズ)」という新たなプラットフォームに統合いたしますが、e-onkyo musicのDNAは、Qobuzに引き継がれ、さらなる進化を遂げてまいります。
とあるように、e-onkyoはただQobuzに吸収されておしまいというわけではないようで、今まで192kHz/24bitまでの販売だったQobuzが新たにDXDとDSDの販売を始めるという展開は、正しくQobuzがe-onkyoの資産を引き継いだ結果なのだろうなと思わせる。
Qobuz(を運営するXandrie)にe-onkyoが取得されてから、
長い長い難路を経て、
ついにe-onkyoは終了し、Qobuzに移行する。
もしこのタイミングで「問題が発生したのでやっぱQobuz延期します」となっても(なってほしくないが)、もはや既にe-onkyoはない。「賽は投げられた」、である。よって、この決定は揺るぎない確信があってのことだと私は信じている。
e-onkyoの会員向けに、10月23日にプレオープンを予定しているQobuzはどのようになるのか? 今は期待しかない。
最後にe-onkyoの思い出を振り返ろうと思って、購入履歴を遡ってみた。
元々e-onkyoはFLACでの販売を行っていなかったので、仕方なくWAVで買っているのが見て取れる。私がLINNのMAJIK DS-Iの導入と併せてハイレゾ音源を買い始めたのは2010年だが、最初はラインナップの関係からLINN RECORDSとHDtracksしか利用しておらず、e-onkyoで買い物したのはそれからずっと後だったのだなあ、と思い返した。
そして私とe-onkyoとの関わりで忘れられないのが、KOKIA / 白いノートブックのリリース。
ずっと「購入者」の立場でしかなかった自分が、「楽曲の権利者」としての意識でe-onkyoを捉えることになったのは得難い体験だった。
さらば、e-onkyo。
日本におけるファイル再生/PCオーディオ/ネットワークオーディオとともに歩んだ19年間は決して順風満帆でも盤石でもなかったように思うが、それでも、e-onkyoが果たした役割の大きさに疑問を挟む余地はない。その足跡はまさしく「歴史」として記憶され、語り継がれるべきものだ。
ありがとう、e-onkyo。