【UHD BDレビュー】第56回『マイティ・ソー バトルロイヤル』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:7
音質:6
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC/HDR10 6.5K撮影・2Kマスター
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:? オブジェクト効果:?

○画質
 MCUの前作にあたる『スパイダーマン:ホームカミング』と同じ路線の、しっとり&ノイズレス&クリーンな画。それなりに解像感はあるものの、暗部の情報量がごそっと抜け落ちるという問題点は蜘蛛と共通。冒頭のムスペルヘイムからしてその傾向が顕著に出ている。そんなこんなで、「BDとは隔絶した」とは言えない微妙な出来。
 蜘蛛と比べるとロケーションの幅が広いこともあり、視覚的な満足感はそれなりにある。惑星サカールのごった煮めいた色彩の乱舞も汚れることがなく、すっきりさっぱり表現できている。
 HDRはソーの雷撃でそれなりの効果を感じるものの、『バットマン vs スーパーマン』におけるドゥームズデイのようなインパクトはない。ビフロストやスルトの炎などHDRが激烈に効きそうな要素はあるがやはりインパクトに欠ける。というより、MCU作品のHDR表現は全体的に派手さよりも階調の緻密さを志向しているようだ。

○見どころ
 惑星サカール
 雷様

○音質
 『アイアンマン』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に続く、絶望的なディズニー/マーベル病に罹患したタイトル。
 とりあえずAVアンプのいつものボリューム値から10dBも上げないとまともな音量にならないという、あまりにも画期的な絶対音量の低さを実現。
 しかしボリュームを合わせたところで、驚嘆すべきダイナミックレンジの狭さによりダイアローグも音楽もまるで力を振るうことはない。オープニングで振るわれるムジョルニアの打撃にいたっては、座布団をまるめて布団を叩くよりも遥かにしょぼいという偉業を達成している。ハルクの打撃も実に優しくふんわりとしている。私が足踏みする方がよっぽど威力があるぞ。
 とはいえさすがに音響制作に金はかかっているようで、マルチチャンネル・サラウンドの構築は素晴らしいのである。クソほどの威力もないのでまったく面白くはないが。
 Dolby Atmos収録ということで、いつもならトップスピーカーだけを鳴らして活用の度合いをきっちり聴くところだが、その気も失せた。
 ディズニーでMCU作品のUHD BD化を担当しているスタッフは迫力のある音響に恨みでもあるのか?

○聴きどころ
 そんなものはない

○総評
 BDからの流れ、そして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』『スパイダーマン:ホームカミング』を経て膨らみ続けた「ディズニー/マーベルのUHD BDはしょぼい」という印象を決定的なものとした歴史的名盤

○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
OPPO UDP-205

・映像
LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59(AVプリとして使用)
SOULNOTE A-2(フロント)
Nmode X-PW1 ×4(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)

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