前回の内容を頭に叩き込んたうえで読んでほしい。
以下、サーバーに関するありがちな誤解である。
一部、サーバーとか誤解とかそういう次元じゃないだろ……というものも交じっているが、気にしない方向で。
いずれ、「PC/ネットワークオーディオにおけるありがちな誤解」という形でまとめなくちゃ駄目かも。
◯ネットワークオーディオでは、NASの性能で使い勝手が決まる
それだけでは決まりません。
◯NASがないとネットワークオーディオはできない
できます。
◯LINN DSではできるのに、他の(以下略
(サーバーという文脈において)LINNは関係ありません。
◯QNAPは使いやすいが、◇◇というメーカーは使いにくい
◯QNAPだと選曲の際に色々な選択肢があるが、◆◆だとそれがない
問題なのはメーカーではなく、NASの中で走っているサーバーソフト。
◯クラシックの曲名(アルバムタイトルという意味での?)、作曲家、演奏家、指揮者、多楽章を楽章単位(要するにトラック単位?)で選曲できない
タグが完璧に整備されていることを大前提にして、その後は使うサーバーソフトによる。
例えば演奏者と指揮者による選曲はTwonkyでは不可能。
多楽章を楽章単位で……というのはサーバーではなく音源を作る段階の問題であり、アプリの問題。ちなみにトラック単位での選曲もできないようなふざけたアプリは(極めて出来の悪い国産アプリを除き)存在しないのでご安心を。
より柔軟な運用を目指すならAsset UPnPがおすすめ。
◯今使っているNASに不満はないけど、音質向上のためにオーディオ用NASに買い替えよう!
ちょっと待った、そのオーディオ用NASとやらの中身のサーバーソフトが今使っているNASと同じならいいが、もし別物なら、今満足しているところのサーバーの振る舞いが変わってしまう。
別に買うなと言っているわけではないが、本当に大丈夫か?
◯ネットワークオーディオなんてクソだ! こんなもんやってられるか!
確かに、ネットワークオーディオはメディアで喧伝されているように「簡単」では全然ないけれど、決してクソではない。どうか見限らないでほしい。
実際、快適なネットワークオーディオに辿り着くためのハードルは高い。
1.PCに必要なソフトを全てインストールする。
無線LANルーターを買ってきてネットワーク環境を構築する。
2.完璧な状態でCDをリッピングする。
あるいは、ダウンロードした音源のタグを完璧に管理編集する。
3.完璧な状態でアルバムアートを音源に埋め込む。
4.2&3を全てのアルバムに行い、完璧なライブラリを構築する。
5.自分の志向にぴたり合うサーバーソフトを見つけ、それに基づいてサーバーをセットアップする。
6.自分の志向にぴたり合うコントロールアプリを見つけ、そして聴く!
このどれかひとつ欠けても駄目。
何か変だぞと思ったら、この中のどの段階で問題が生じているのか把握しなければならない。
つまり、ネットワークオーディオのシステムにおいて間違いなくサーバーは必要不可欠かつ重要な要素である一方で、
NASを買ってきただけでは――サーバーを用意しただけではどうにもならない。