【ネットワークオーディオTips】ネットワークオーディオの実践に必ずしも単体プレーヤーは必要ではない

 この記事で言う「単体プレーヤー」とは、「オーディオ機器として売られているネットワークオーディオプレーヤー」を指す。

 さて、ネットワークオーディオの本質は「コントロール」である。
 プレーヤー、すなわち再生機器に何を使うかは大きな問題ではない。
 さらに言えば、たとえ単体プレーヤーを使っていても、本当の意味でネットワークオーディオを実践しているとは限らない
 プレーヤーが高価なオーディオ機器であることは、ネットワークオーディオを実践することと何の関係もない

ネットワークオーディオの本質

 ただし、感覚的に最も分かりやすいネットワークオーディオのシステムが、単体プレーヤーを含む機器の組み合わせであることも確かである。

 あらためて整理しよう。
 これがネットワークオーディオの三要素とそれぞれの役割。
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 単体プレーヤーを使うということは、要するに「一つの要素に一つの機器を割り当てる」ということ。
 「サーバー」には「NASまたはPC」。最近では純オーディオ用の製品も増えた。
 「プレーヤー」には「単体プレーヤー=オーディオ機器」。
 「コントロール」には「スマホ/タブレット&アプリ」。
 そしてそれぞれの機器はネットワーク――LANで接続する。
 多くの場合システムの背後にはUPnP/DLNAの仕組みがあり、機器は難なく繋がる。
 ちなみに、DELAをはじめとする「サーバー一体型プレーヤー」もまた存在する(この手の製品ジャンルは「ミュージックサーバー」と呼ばれる)。

DLNAにおけるデバイスクラスについて

ネットワークオーディオの三要素――『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』

 黎明期から今に到るまで、ネットワークオーディオと言えばDLNA/UPnP、そして「オーディオ機器としてのネットワークオーディオプレーヤーを使うシステムがネットワークオーディオである」というイメージが支配的だった。

 しかし、そんなことはない

 ネットワークオーディオの本質はコントロールである。
 ネットワーク越しに、空間的に独立した端末から音楽再生のコントロールを行うシステム。これこそがネットワークオーディオのシステムである。

 椅子に背を預けたまま、手元の端末を使って曲を選び、再生する。
 音楽が流れ出す。堪能する。
 これぞネットワークオーディオの実践である。

 この時、「再生機器に何を使っているか」が意識されることはない
 意識されるのはあくまで実際に触れているアプリであって、プレーヤーではない

 再生機器が単体プレーヤーだろうが、PCと再生ソフトの組み合わせだろうが、ネットワークオーディオを実践していることに変わりはないのだ。

 PCと再生ソフト。ついでにUSB DAC。
 これらはいわゆるPCオーディオとして一括りにされるが、昨今の再生ソフトは、大抵の場合専用のコントロールアプリが用意されているか、あるいはUPnP/DLNA/OpenHome対応アプリからのコントロールが可能になっている。
 そのおかげで、再生機器にPCを使うからと言って、もはやモニタにかじりついてマウスをカチカチする必要などない。
 すなわち、PCと再生ソフトの組み合わせを再生機器として使いつつ、ネットワークオーディオを実践することは可能なのである。

 逆に、たとえ単体プレーヤーを使っていても、プレーヤーの小さくしょぼいディスプレイにかじりついてポチポチと操作しているようでは、ネットワークオーディオの実践とはとても言えない

PCオーディオはもっと自由になれる

全体の流れ――音源の管理運用からシステムの構築まで

 「単体ネットワークオーディオプレーヤーを使うからこそ快適な音楽再生が可能になる」なんて幻想はそろそろ役目を終えてもいい。ユーザビリティの完成度はあくまで個別の機器・ソフト・アプリの出来次第である。
 例えばUPnP/DLNAの仕組みを用いることは高品位なユーザビリティを実現するための手段の一つであって、それ自体が目的ではない。

 PCを再生機器に用いるシステムは、『サーバー』と『プレーヤー』の二つを『再生ソフト』が担うと考えればいい。

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 自分自身に音源を取り込んでいる、ライブラリ統合型の再生ソフトならではのシステムである。「配信」という単語を厳密に捉えると少々アレだが、音源が保存場所とプレーヤー間でやり取りされているという意味では同じ。
 そして何より、「コントロールが空間的に独立している」という点において、このシステムはネットワークオーディオに他ならない。存分にその恩恵を享受することができる。
 さらに詳しくはこの記事を参照。

 居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌に尽くしがたい快適さ

 ネットワークオーディオが実現する真のメリットは、再生機器に何を使うかに依存するものではないのだ。

 念のため言っておくと、単体プレーヤーの価値を否定しているわけではない。
 オーディオ機器としての完成度の高さは揺るぎない強みであり、また「PCそのもの」という音質上のボトルネックが存在しないため、何より音にこだわるオーディオファンにとってはベストの選択だろう。
 それに、ユーザビリティの究極的な完成度においても未だ一日の長がある。

 もちろん、PCと再生ソフトの組み合わせを使ってもいい。
 出来のいいコントロールアプリには不自由しないし、JPLAYStreamerなんかを使えばさらに可能性が広がる。例えばJRiver&JRemoteを使うかJPLAYStreamer&BubbleUPnPを使うかという幸せな悩みが待っている。foobar2000&MonkeyMote 4 foobar2000だって負けていない。
 USB DACの製品層の分厚さも間違いなく大きな魅力と言える。

 もちろん、MPDやそれに類するプレーヤーを使うのもいい。
 これはPCオーディオかネットワークオーディオか、なんてことを気にする必要もない。

 自分にとって一番音が良く、一番使いやすいものを選べばいい。
 それが単体プレーヤーだったという可能性もあるし、PCの再生ソフトとUSB DACという可能性もある。
 姿形に多少の違いはあれど、行き着くところは同じ。

音楽が大好きで、もっと快適に音楽を聴きたい。

 この夢を叶えるためにこそ、ネットワークオーディオはある。
 
 

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