レーザー光源プロジェクターと有機ELテレビとブラウン管の呪縛
画質を取るか、迫力を取るか
画質が迫力を凌駕する瞬間
学生時代。
HDMI入力が欲しくて28インチのワイドブラウン管から32インチの液晶ディスプレイ(チューナー無し)に換えた時の、あの、あの途方もない絶望感。
なんだ……この……灰色に濁った闇は…………
それから既に10年以上。
今までKDL-46X2500を買って多少マシになった黒にほっとしたり、「黒ならプラズマ」というイメージに乗せられて&とあるレビューを信用してTH-P42V1を買った挙句無様な黒浮きを目にして絶望したり、DLA-HD350を買って大画面に喜んだのも束の間ワンルームマンションでプロジェクターは無理があると思い手放したり、KDL-46HX900を買ってLEDのエリア駆動に感動したり、DLA-X30を買ってもうでかいしじゅうぶん高画質だしこれでいいやという思考になったり、色々あったが、やはりブラウン管の呪縛は消えようもなかった。
月日は流れ、気付けば4KとかHDRとかUHD BDとか、ポストHDの諸々が登場する時代となった。
そろそろ、ここらで、ハイビジョンブラウン管の画に後ろ髪を引かれるのも終わりにしたかったのだ。
LG OLED55B6P。
夢にまで見た有機ELテレビが手に入る時代である。
眼前に広がる懐かしい闇。
4Kも、HDRも、いったん脇に下がるがいい。
黒が黒い。
ブラウン管の呪縛から解放されるには、これだけで、たったこれだけでよかったのだ。
そりゃ有機ELテレビという枠内ではさらに画質の良し悪しもあるのだろうが、それを承知のうえでなお、ついに黒が黒いディスプレイを取り戻したことを喜びたいのである。