DEGジャパン、4KのUHD BDは「4K Ultra HDブルーレイ」表記を推奨。今後の普及拡大にも自信 - Phile-web
とりあえずUHD BDの推奨表記だの何だのはどうでもよくて、もっともっと、もっともっともっともっと気になったのはコレ。
また、日本のセル/レンタルを含めたCDの売上は世界1位だが、DVD/BDに関しては2位となっている現状にも触れ、今後はワールドカップやオリンピックなど映像に関連するイベント特需により、「2019年にはDVD/BDのレンタルが、2020年にはセルが、それぞれ世界1位となるだろう」という見通しを語った。
Oh...
これって決して日本が伸びているわけではなく、「日本以外が沈んでいる」結果なのだと思うが、アメリカですらこういう状況なのか。
Netflixをはじめとする映像配信サービスの興隆は、諸外国におけるパッケージメディアの存在感をここまで低下させたのか。
音楽に引き続き、映像でもやっぱりこうなるのか。
まぁ、音楽に関してはファイル再生とネットワークオーディオなんてものを実践している手前、私自身、正直なところパッケージメディア……というよりディスクそれ自体に思い入れはさしてなくなっている。
もし、UHD BDの中身そのまんまの映像がデータで販売され、それを再生できる映像プレーヤーが存在するのなら、私はディスクではなくそっちを買うだろう。
しかし、現にそんな状況にはなっていない(今後もならないだろう)ので、「現状入手し得る最も高品質なコンテンツの形態」ということで、UHD BDを買い続けているのである。実際にUHD BDは(当たりはずれもあるけど)最高なのでみんな買おう。
今後、映像配信サービスがますます浸透し、パッケージメディアを追いやっていく傾向は変わらないだろう。配信にはいろんなメリットがあるし、それはそれでいい。
そもそもUHD BDは「最後の映像ディスクメディア」と言われているので、冷静に考えればもはや「生き残るか」ではなく、「いつまで続くか」を考えなければならない時期と言えるのかもしれない。そりゃ私だってUHD BD(あるいは映像パッケージメディア)は長く続いてほしいと思うが、現実が現実である。それでも、たとえUHD BDが終わりを迎えたとしても、蓄積したライブラリが長きに渡って価値を保つことに疑いはない。
ただ、オーディオ・ビジュアルを趣味とする者の一人として私が恐れてやまないのは、「映像配信サービスのクオリティが十全な向上を遂げないうちに、BD/UHD BDが死滅する」という未来である。
画質に関して言えば、もちろん現状ではUHD BDに遠く及ばないにせよ、4K/HDRといった最新の潮流を取り入れており、未来は明るいと感じる。
音質に関して言えば、現状では不安しかない。音楽ではTIDALやQobuzなどがロスレス品質での配信を行っている一方で、映像でロスレス音声を配信するなどという話はまるで聞こえてこない。
それもそのはず、BD/UHD BDに収録されている24bitのDolby AtmosやDTS:Xといった音声は4~6Mbpsにもなる。5.1ch/24bit リニアPCMなら6.9Mbpsだ。AKIRAのBDなんてもっと大変だぞ。なんとかして映像を上手に綺麗に圧縮して帯域を節約しようと頑張っている側からすれば、こんなデータ量は到底許容できるものではないだろう。
だから配信サービスでやってくる映像の音声はロッシーのままだし、だから私は映像配信サービスに本気になれない。こういうことを言う層は極々少数であることは百も承知だが、オーディオ・ビジュアルを趣味とする者として、「ロッシー」と「ロスレス」の差は決して受け入れられるものではない。だからTIDALはいいのだ。ロスレスだから。
というわけで、上で「映像配信サービスのクオリティが十全な向上を遂げないうちに、BD/UHD BDが死滅する」状況を恐れると書いたが、厳密には、「映像配信サービスが音声のロスレス化を果たさないまま、BD/UHD BDが死滅する」、つまり「ロスレス音声で新たな映像作品を楽しむ手段が失われる」ことが恐ろしいのである。
音楽で言うなら、「CD・SACD・レコード・ダウンロード販売(ハイレゾ音源含む)の形態で一切新作が販売されなくなり、ロッシーの音楽配信サービスだけが残る」という状況である。悪夢だ。幸いにしてそんな状況にはならずに済んだが。
映像配信サービスにおいて、クオリティの向上を最終的に阻害する回線や帯域といった現実的な問題は、いつかは技術発展が解決してくれるものと信じている。お願いだから画質だけじゃなくて音質にも目を向けてほしいのである。いまさらDVD時代のロッシー音声に戻るのは嫌だ。
そしていつかは訪れるであろう、UHD BDに別れを告げるその日には、映像配信サービスでUHD BDと遜色ない画質・音質が得られることを願ってやまない。本当にそうなるなら、出すものは出す。