canarino Fils ― ついにデジタル・ファイル再生の原器を手に入れたぞ
基本的に24時間電源を入れっぱなしのまま、秋田の雪に閉ざされた冬を越え、無駄に熱い夏を越え、色んなイベントで使うべく幾度となく箱詰めされてあちらこちらを行き交い、それでもなお機能不全に陥ることなく、canarino Filsはこの一年間問題なく稼働し続けた。まず安定していなければ話にならない。ファンレスのPCが秋田の厳しい四季を乗り越えてくれてよかった。
canarino Filsはアナログ電源との組み合わせにより、「諸々のソフトを十全に動かし得るマシンスペック」と「良心の呵責なくオーディオシステムに組み込み得る音質」の二つを担保する。
思想だけでなく、実際のシステムにおいてもPCオーディオとネットワークオーディオの不毛な対立に終止符を打った「デジタル・ファイル再生の原器」として、canarino Filsには本当に世話になっている。
起動ディスクもストレージもSSDにしているおかげか、どんなソフトを……それこそRoonを動かした時でさえ、メインのデスクトップよりきびきび動くくらいだ。音源のデータを入れる時の転送速度も1Gbpsのほぼ上限値まで出るし、サーバーとして使った時のレスポンスの良さも一般的なNASとは比べ物にならない。
そんな感じで、今では新しいソフトを試す時はまずデスクトップPCで諸々のユーザビリティを確認し、その後canarino Filsで実際に運用してみるという流れが確立できた。
未だに姿を現さないNucleus Serverをはじめ、オーディオ機器として作られた単体Roon Serverがほとんどない現状を考えれば、「オーディオ用PCを単体Roon Serverとして運用する」という選択はやはり間違いではなかった。あとはSFORZATOのプレーヤーがちゃっちゃとRoon Readyになってくれれば最高なんだが。
目下、Roon以上に重いオーディオ用のソフトが出現するとはちょっと考えづらいし、意味があるかどうかはさておき将来的にDSD1024にアプコンしてもまだ余裕がある。少なくともオーディオ用に使う限り、スペック的に陳腐化するなんてことにはそうそうなるまい。
たとえfidata HFAS1-XS20という純粋にオーディオ用途のサーバーを導入したとて、canarino Filsの「原器」としての価値はいささかも損なわれていない。
主にモチベーションの問題でソフトウェア的な最適化には手が回っていないため、canarino Filsにはまだまだ進化の余地はある。
今後もますます世話になろう。