「あなたのオーディオのリアルを教えてください」ということで、オーディオ/シアター環境について、2022年12月29日から2023年1月8日まで実施したアンケートの結果となります。
アンケートには最終的に127件の回答がありました。オーディオファンの皆さまのご協力、誠にありがとうございました。
目次
オーディオ/シアターシステムを構築している環境
「リビングルームや個人の居室などの一般的な部屋」が約三分の二を占め、「専用室」は約四分の一、そして「机を中心とするデスクトップ環境」が残りの一割という結果。
「大半の場合、オーディオの現場は専用室ではない一般的な環境である」という点で、おおむね想像していた通りの結果といえる。
デスクトップ環境はもう少し多いと想像していたが、これはまだまだ未開拓の可能性があると捉えるべきか。
部屋の広さ
部屋の広さについては見事に回答がばらける形となった。
デスクトップ環境を除いて計算(「6畳未満」は4.5畳、「19畳以上」は21畳とした)すると、オーディオ/シアターを構築している部屋の広さは平均11.1畳ということになる。
また、12畳未満の環境が全体の6割以上を占める、というのは現実的なオーディオ事情を考えるうえでひとつの指標となるだろう。
※ひとつ前の質問で「デスクトップ」と答えた人がそのまま「デスクトップ環境」を選ぶことを想定していたが、必ずしも全員がそうはならなかったので、質問の仕方がよくなかったと反省。
ひとつ前の質問の「一般的な部屋」はリビングルームも含めており、リビングルームは個人の居室に比べれば得てして広いと思われる。その辺の事情を踏まえて、「一般的な部屋」と「専用室」それぞれの回答は以下の通り。
「一般的な部屋」の広さは平均10.8畳、「専用室」の広さは平均11.8畳。
リビングルームを含む影響で「一般的な部屋」の方が全体的に広いということもなく、大きな差ではないとはいえ、むしろ「専用室」の方が広いという結果になった。
ただ、「オーディオ/シアターの機材以外にも色々な物が置かれる生活の場」である一般的な部屋と、「オーディオ/シアターのためだけに使える」専用室では、仮に部屋の広さが同じでも実際に使える広さは違うという点は留意すべきだろう。
デスクトップ環境における机のサイズ
以下、回答そのまま。
■160×80cm
■118x63
■120*90
■幅64、奥行き最大66、高さ129.5(cm)・3段金属板、隣にPC仮置き用の机あり
■160×80
■およそ1800×500の集成材をL字型に2枚配置
■1200×800mm
■奥行 80cm x 幅 180cm
■60*120cm
■100×60
■奥行き80㎝横120㎝高さ70㎝
■W1200×D700×H700mm
■120cm×70cm
というわけで、デスクトップ環境に使われている机の大きさは、平均で横幅129cm×奥行71cmという結果となった。
結構大きなサイズの机が平均を引き上げている気もするので、実際には横幅120cm×奥行60cmあたりが、デスクトップオーディオを実践するうえでひとつの目安になるのではなかろうか。
ちなみに私が使っている机のサイズは横幅160cm×奥行80cmなので、平均からするとかなり大きめのようだ。
システムの方向性
半数近くの人が「音楽も映像も分け隔てなく楽しむ」と答えていることはおおいに注目すべきだろう。
映像の介在しない「ピュアオーディオ」を志向している人は全体の約三分の一に過ぎず、業界のスタンスがいつまでも「ピュアオーディオこそオーディオの正道/王道」のまま変わっていないとすれば、それは現代において決して良い状況だとは思えない。
スピーカー間のテレビの有無
テレビをはじめ、スピーカーの間になんらかのディスプレイを置いている人が全体の約四分の三を占める。
音質を最優先にするなら、スピーカー間のディスプレイ、特に今どきのでかいテレビなんて無いに越したことはないわけだが、これが現実。
ちなみに、ひとつ前の質問で「ピュアオーディオ」(2ch・マルチ含む)と答えた47人のうち、15人は「スピーカー間にテレビがある」と答えている(他のディスプレイを含めると20人)。
純粋に音楽を楽しむ&音質を追求する「ピュアオーディオ」の在り方に、私はひとりのオーディオファンとして心から敬意を表する。しかし一方で、「ピュアオーディオこそオーディオの正道/王道」という思考、あるいはそこに付随する「映像の介在するシステムを見下す」という意識は、この回答結果も示すように、どうしようもなく時代遅れのものに思えてならない。
音楽再生でメインとなるソース機器
回答者の約六割が「ネットワークプレーヤー」を選ぶというのは、おそらく世界中のオーディオ情報サイトで同様のアンケートを実施してもここ以外にないんじゃないか……? と思ったり思わなかったりする。
もっとも、私はネットワークオーディオにオーディオの未来を見出し、Audio Renaissanceの立ち上げ以前からずっとネットワークオーディオに関する情報発信を続けてきたわけで、その結果が回答に現れていると思えば素直に喜ばしい。ネットワークオーディオ・エバンジェリストなんて名乗っている身として、冥利に尽きる。
というわけで、正直なところこの回答結果に関してはオーディオ業界全体の実態を示しているとはまったく思わないが、それはそれとして、Audio Renaissanceに期待されているものははっきり見て取れる。
あとは「メイン」といいつつ複数回答可にしていたこともあるが、特定のソース機器だけを使っている人は意外に少ない。例えば「CDプレーヤーだけ」の人は6人しかおらず、「レコードプレーヤーだけ」にいたってはゼロ。
レコードプレーヤーとPC&USB DACの両刀使い、CDプレーヤーとネットワークプレーヤーの両刀使いなど、アナログとデジタル、ディスクとファイルを問わず、様々なソース機器を組み合わせて使っている人が多いようだ。
映像再生でメインとなるソース機器
順当に時代を反映した回答結果といえるが、それでも「映像ディスクプレーヤー」が過半数割れしたことはいささか衝撃だった。ちょっと色々と考えてしまう。
最終的な出力
そりゃそうだよな、という結果。
ちなみに最初の質問で「デスクトップ」と答えた人の内訳は、
パッシブスピーカー:5
アクティブスピーカー:3
ヘッドホン(有線):3
イヤホン(有線):1
イヤホン(無線):1
このようになっており、デスクトップオーディオのシステムにおいても、アクティブスピーカーよりもパッシブスピーカーの方が人気という実態が見て取れる。
まとめ
予想通りの結果もあり、なるほどと思う結果もあり、まさかと驚く結果(ネットワークプレーヤーの使用率とか……)もあり、総じて非常に得るところの大きいアンケートでした。
今回の結果は、今後のAudio Renaissanceの企画にも少なからず反映させていくつもりです。