ついに、Sapphireに相応しい台座を導入できた。
導入したのは、『ブビンガ』のボードである。
ブビンガ。
聞いたことがない。
調べてみると、こういうもののようだ。
オーディオ用途では、ほとんど使用例を聞いたことがない。せいぜいモニターオーディオのスピーカーの仕上げ名になっているくらいか。しかし、硬い、重い(比重0.9前後)、楽器にも使われているということで、オーディオ的な能力を期待するには十分要素が揃っている。
そして何より気に入ったのは、色。画像検索をしてみれば、Sapphireのボルドー仕上げに勝るとも劣らない素晴らしい杢が出てくるではないか。
これしかない。というわけで、オーダーに到った。
サイズは将来を見据えて十分な大きさの45×45センチ、厚みは4センチも取ることができた。
でかい。厚い。重い。凄まじい存在感である。こうしてフローリングに置いてみると、ブビンガの赤みが際立つ。
というわけで、いよいよ台座の交換である。
人工大理石ボードよ、Sapphireのスパイクで穴だらけにしてすまない。お疲れ様。
にしても、Sapphireと並べてもなおこの存在感。
40キロのSapphireを必死に動かし、ブビンガベースに置き換える。
一人で出来る作業としてはこのくらいが限界だろう。必死である。
そして……
手前味噌ながら、素晴らしい。
Sapphireとブビンガベースが一体化したような、色も形も存在感も、「最初からこう在るべきだった」と言わんばかりの絶妙なバランス。
それで肝心の音の変化はと言うと、
低音の沈み込みや安定感が増す。
打楽器のアタックの威力が増す。
全帯域にわたって解像度が上がる。
余計な音で埋もれていたディティールと空気感が出る。
音像が引き締まり、透明感が増す。
とりあえず列挙したが、音質向上に対する寄与は計り知れないものがある。
見違えるようにSapphireが歌う。
足元がしっかりするだけで、ここまで音が変わるのだということを再確認した。
最も顕著な変化は、今まで音質的には「やかましいだけでイマイチ」だった曲が、主に低音域の改善によって別物のように化けたこと。「うるさい」から「楽しい」への豹変である。さすが楽器に使われる木材とでも言うべきか?
確固たる台座を得たことで、Sapphireはますます音を解きほぐし、のびのびと歌うようになった。楽しい。
あぁ畜生、オーディオは楽しいな。
ちなみに前回の記事ではモアビのオーディオボードにしようと書いたが、オーダー先の山崎創作に相談したところ、ブビンガという選択肢を提示された。
結果としてブビンガでオーダーしてよかった。
音も仕上がりも素晴らしい。大正解である。