NASとサーバーに関するありがちな誤解に関する記事の中で、「NASがなくてもネットワークオーディオは出来る」ということを示した。すなわち、「ネットワークオーディオをやるためにはNASが絶対に必要」というのは誤解である。
PCオーディオは……USB DACを使うかどうかはさておき、PC上で音源の管理運用と再生を始めれば、それ自体がPCオーディオの実践と言える。しかし、上記の誤解が様々な局面で広められてきた結果、ネットワークオーディオはNASという初期投資に加えてNAS自体もあれこれと小難しい設定が必要という認識が生じ、それがユーザーから「ネットワークオーディオをやってみよう」という意欲を奪っている。ように思われる。本格的に導入するよりも前に、「まず試してみよう」という意識が働くのは当然のことだが、その時点でハードルが高くなってしまっているのである。
この記事では、再生ソフトを用いたPCのサーバー化を紹介する。
PCがあればサーバーの役割を果たすことができる。
そして、Twonky ServerやAsset UPnPなどの純粋なサーバーソフトを導入するまでもなく、foobar2000やMediaMonkeyといった馴染み深い再生ソフトを用いてPCをサーバー化することができる。
さらに、この方法では副次的に再生ソフトをサーバーだけでなく実質的なネットワークオーディオプレーヤーとしても使用可能であり、それだけでネットワークオーディオの何たるかを体験できるようになっている。
おそらく、ネットワークオーディオの操作感を体験する際の最も簡単な形である。
こんな具合に、「まず試してみる」という点において、再生ソフトを用いたPCのサーバー化非常に優れている。
それだけに留まらず、純粋にサーバーソフトとして使っても充実した機能を持っている再生ソフトも存在する。
さて、ここから先に行く前に、以下の項目について確認したい。
今さら触れる必要もないとは思うが、念のため。
ネットワークオーディオを始めるには、
①PC
②Wi-Fi環境
③スマホまたはタブレット(iOSでもandroidでも)
以上の三点があればいい。
さすがにこれくらいならどこの家庭にもあると思うが、どうだろうか。もし、これらの内何かが欠けている場合……電気屋に行こう。
NASは要らない。
PCがプレーヤーを兼ねるため、操作感を体験するだけなら単体プレーヤーも必要ない。
私の考えるネットワークオーディオとは、「LAN経由で音源をストリーミングして再生すること」ではなく、「ネットワークを用いて音楽再生時のコントロールを機材から独立させること」である。
つまり、せめて音楽を聴く時くらいPCの前から離れたいのだ。
これに尽きる。
一応それぞれについて確認すると、
①PC
なんでもいい。
デスクトップでもノートでもいいし、windowsでもMacでもいい。
要は普段使っているPCそのもので一向に構わない。
②Wi-Fi環境
後述のスマホまたはタブレットの運用のために必要。
スマホがあるなら大体コレもあるとは思うが……
ネットワーク環境がない、そもそも無線LANが何のことかわからないという場合……電気屋に行こう。
③スマホまたはタブレット
なんでもいい。
そしてとりあえずKinskyでも入れておこう。
なお、これから作るのは「PCをサーバー化して、ついでにネットワークオーディオプレーヤーとしても使うシステム」であり、基本的にUPnP/DLNAの仕組みに基づくものである。
「再生ソフトとコントロールアプリの組み合わせによるネットワークオーディオの実践」とは性格が異なるので注意。
では、精魂込めたライブラリの入ったPCと、スマホなりタブレットを用意して、次から個別に見ていくとしよう。