タグ。
PCオーディオとネットワークオーディオの両方、デジタルファイル音源を扱うあらゆる領域で目にする単語。
その一方で、いまいち正体が判然としない言葉でもある。
いつぞや発売されたとある雑誌において、タグは以下のように説明されている。
「データを管理するために設定する曲名・アルバム名・アーティスト名・ジャンルなどの基本的なキーワード」
ふーむ。
ん? 曲名? と思った人は鋭い。その辺は後述。
では、具体的に、どこを見ればタグを確認できるのか?
いったい何がタグなのか?
タグの存在は、意識しなければそもそも目に入らない。
あるいは、タグとは何かを理解していなければ、実際にタグを目にしていたとしても、それがタグなのだと認識できない。
というわけで、この記事において、「これがタグだ!」ということを意識に刻み込んでもらいたい。
あらかじめ言っておこう。
タグを制する者は音源管理を制する。
これが、今までネットワークオーディオと取っ組み合ってきた私が得た結論である。
タグの存在は音源管理にとって絶対に避けては通れない、最も大切な要素であると言っていい。
前置きが長くなった。
以下、これが『タグ』である。
以上、赤く囲ったものは、すべてタグである。
次に、「タグではないもの」を示す。
以上4枚の画像、よく見る音源フォルダの中に、タグはひとつも表示されていない。
さて、実際に「何がタグで、何がタグでないか」を見てもらったので、整理しよう。
・再生ソフトやコントロールアプリに表示される情報は基本的にタグに基づいている
・「曲名」や「曲順/トラック番号」すらタグである
・タグと「フォルダ名」「ファイル名」は基本的にまったくの別物
・アルバムアートもタグとして音源に付加されている
つまるところ、タグとは何か。
「音源に“内的に”付加された情報の総体」である。
アーティスト名、アルバムタイトル、ジャンル、アルバムアートなどなど、音源を単なる音声データではなく、確かな「音楽」として扱うために必要なあらゆる情報の集合こそがタグの正体である。
さらに付け加えると、
・音源が圧縮音源か否か、ハイレゾ音源か否かはタグとはまったく関係がない
・WAVでもタグは使える(→参照)
・音源のレベルで「タグが使える」ことと、ソフトのレベルで「タグが機能する」ことは別物
なお、タグとは音源ファイルそれ自体のデータ(音声)とは別枠で存在する「データのためのデータ」であり、「メタデータ」の一種である。
タグとメタデータの厳密な使い分けが必要な場合、私は「あくまでも音源に付加された情報」=タグ、「アーティスト名やアルバムタイトルといった情報それ自体」=メタデータと呼ぶようにしている。
こうすることで、例えばRoonを使う際、音源ファイルが持っている情報(=タグ)とRoonのデータベースが持っている情報(=メタデータ)を分けて考えることができる。
それでは、
・タグが何も付加されていなかったら?
・付加されたタグが滅茶苦茶だったら?
ということについて、また次回見ていくことにしよう。
最後に、大事なことなのでもう一度。
タグを制する者は音源管理を制する。
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