デスクトップオーディオにおけるスピーカーの設置(セッティング方法)を考える

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デスクトップオーディオにおける机とスピーカーの配置を考えるhttps://audio-renaissance.com/know-how/desktop-audio-so-far  多くの場...
デスクトップオーディオにおけるスピーカー以外の機器の置き場所/ラックを考えるhttps://audio-renaissance.com/know-how/desktop-audio-so-far https...

 デスクトップオーディオでは真っ先に検討すべき、「机とスピーカーの配置/どこに置くか」については、前の記事で考えた。

 この記事では実例を交えながら、配置が決まった後の「スピーカーの設置/どう置くか」について考え、いくつかの方法を提示する。スピーカーセッティングの「詰めの部分」である。

机にどう置くか

 前の記事で提示した「机の横/奥にスタンドを立てて置く」配置にする場合、スピーカースタンドを使える。机上のモニターが音の通り道の邪魔にならないように、そしてあまりにも歪な三角形にならないように気を使えば、あとは通常のスピーカースタンドを使うセッティングと基本的に同じ。スピーカースタンドを使ったセッティングはどうあるべきか、なんて考え出すとそれはそれでキリがないので、ここではこれ以上触れない。

 よって、デスクトップオーディオにおいて考えるべきは、やはり「机にどう置くか」である。

ベタ置き

 まず、デスクトップオーディオに……というか、オーディオに本気で取り組む気が少しでもあるなら、とりあえずベタ置きはやめよう

 素材や構造など、音質的に考え抜かれたスピーカースタンドやオーディオラックとは違い、机は良くも悪くも「ただの家具」に過ぎない。振動の巣窟であり強度も不安。スピーカー自体が直置きを想定した構造をしているのでなければ、対策や工夫もなしにスピーカーを置くのは避けたい。

スピーカーと頭の位置で正三角形?

 2chステレオのセットアップにおいて、左右のスピーカー(のユニット位置)とリスニングポジションは正三角形にすべき、というセオリーがある。

 デスクトップオーディオに限らずスピーカーセッティングの基本中の基本であり、スタジオや試聴室など、クリティカルリスニングが必要とされる環境で特に重要視されている感のあるセオリーといえる。

 しかし、デスクトップオーディオとは生活の上に乗るオーディオであり、使う机の大きさからして千差万別である。そうそうセオリー通りになどいくはずもない。

 というわけで、スタジオ用途のセットアップならばともかく、あくまでも楽しむためのシステムなのだから、「セオリーはセオリーとして尊重しつつも気にしすぎることなく、PC(モニター)と使う(使いたい)スピーカーの大きさを踏まえて、座る位置を基準に狭すぎず広すぎず」くらいの感覚でいい。

 だいたい、デスクトップオーディオにおいては肝心の人間側が、気合いを入れて背筋を伸ばしてモニターに向き合ったり、力を抜いて背もたれに乗っかかってだら~っとしたり、耳の位置も耳の高さもまるで一定しないのだから、「まぁこんなもんかな」くらいでちょうどいいのだ

 ちなみに、私の160×80センチの机で横幅をめいっぱい使って、幅20センチほどのそれなりに大きなスピーカーを置くとこんな感じになる。

Dynaudio Emit 20のセットアップ
Emitシリーズはマジで傑作なので聴いてみてね

 作業のために机に近づいた状態では明らかに「底辺の長い三角形」になるが、四六時中気合いを入れて机と向き合うはずもなく、力を抜いて椅子をリクライニングさせてだら~っとした、まさにその状態でちょうど正三角形になる。ながら聴きではなくきちんと音楽を聴こうと思うと必然的に楽な姿勢になるので、ある意味凄~く理に適ったセットアップといえる、かもしれない。

ツイーターを耳の高さに合わせる?

 より良い再生音を得るためにはツイーターと耳の高さを合わせるべき、というセオリーがある。

 現に高音は指向性が強いので、そのようにセッティングできるならそれに越したことはない。

 あるいは、スピーカーに角度を付けて設置して「ツイーターを耳に向ける」ことで同様の効果を得る、という方法もある。

 しかし、例えば「スタジオ スピーカー」で画像検索してみればわかるが、プロフェッショナルな音楽制作環境でさえ、この辺のセッティングはそこまで厳密ではなかったりするというのが現実である(別にそれを非難する意図はない。念のため)。

 というわけで、「セオリーはセオリーとして尊重しつつも気にしすぎることなく、うまい落としどころを見つける」くらいの感覚でいい。

 だいたい、(以下略)

インシュレーターを使う

 スピーカーをセッティングするうえで、特に振動対策の面で真っ先に思い付くアクセサリーといえばインシュレーターだろう。

 実際に机の振動の影響を減らすという意味でインシュレーターの存在は重要で、さすがに「10円玉でいいよ」とまでは言わないが、安価なインシュレーターでも、使うのと使わない(机にベタ置き)のとでは再生音は大違いである。ブックシェルフスピーカーを買うと大抵防振ゴムやフェルトパッド的なものが付属するので、とりあえずはそれを使うのでもいい。

インシュレーターは四点支持か三点支持かという問題があるが、安定した設置ができるなら三点支持で問題ない、というのが私の持論
ガタが出ないという利点もある

 B&Wの700シリーズのように、スピーカー底面に鬼目ナットが仕込まれているスピーカーなら、それを使ってねじ込み式スパイクが使える。机の上であってもスパイク設置の効果は絶大なので、使えるならぜひ使いたい。

B&W 706S2の底面、鬼目ナットが四隅に仕込まれている

 一例として、soundcareの「SuperSpike」シリーズは手頃な価格かつ、これひとつでスパイクとスパイク受けの役割を果たして非常に使いやすいので、初めて試すぶんにはもってこいだ。

KEF LS50 metaとSuperSpike SS8のセットアップ
【レビュー】soundcare SuperSpike SS6/SS8https://audio-renaissance.com/know-how/desktop-audio-speaker-setting...

 Monitor AudioのMASSのように小型のスピーカーだと、設置面が小さすぎてインシュレーターを使うとかえって不安定になる場合がある。

 それでも可能な限りベタ置きは避けたいので、そんな時は一例として、TiGLONの「D-REN Pro」というスペーサーを使うという手がある。これだけでもベタ置きとは大違いである。

D-REN Proは滑り止め効果もあるので、設置面そのものは小さいがこれでも安定感はある
ちなみに私はD-REN Proをスピーカースタンドの天板に置いて振動対策など、いたるところで便利に使っている

 机で使う前提、かつ投資金額を気にしないとしたら、鬼目ナットが仕込まれているスピーカーであれば、音質と使いやすさの両面でfinite elementeの「CERA」シリーズが浮かぶ。Dynaudio Sapphireとの組み合わせで性能は実感できている。

 底面が平らなスピーカーでも使える汎用性があり、効果も大きい選択肢としては、TiGLONの「MZX-3/4」を挙げる。これは純マグネシウムスパイク&スパイク受け・制振リング・バーチ材のカップという四層構造から成るハイブリッドインシュレーターで、つまりこれひとつでスパイクとスパイク受けにくわえて実質的にオーディオボードとしての機能も果たす。ただしカップが少々滑りやすいので、滑り止めとさらなる振動対策を兼ねてD-REN Proと組み合わせるのがよい。

Paradigm Persona BとTiGLON MZX-3・D-REN Proを組み合わせたセットアップ
【レビュー】TiGLON MZX-3 / MZX-4https://audio-renaissance.com/know-how/desktop-audio-speaker-setting...

卓上スタンドを使う

 机の天板の強度がスピーカーの土台としてはいかにも心もとない、あるいはツイーターの高さを耳の位置に合わせたい、という時に有効なのが卓上スタンド。スタンドとインシュレーターは多くの場合併用可能なので、色々と試してみる価値はある。

 いかにもスタンド然とした立派なものである必要はなく、スピーカーに合うサイズのボードや、木材のブロックを使うのだっておおいにアリ。

 また、スタンドだけでなくインシュレーターにも言えることだが、スピーカーをいくらか「浮かせる」ことで、天板からの反射音の影響を少しでも軽減するという意味もある。

 一例として、創造小屋の卓上用スタンドはモデルによってはサイズのオーダーが可能で、じゅうぶんな強度にくわえて天板が平らなためインシュレーターも使いやすい、優れた選択肢といえる。しかも価格はお手頃。

 私が使っているのはISO Acousticsの「Aperta Aluminum」というスタンド。レギュラーモデルである「ISOスピーカースタンド」シリーズはまずサイズのバリエーションが豊富で、接触部分が吸着するようになっていて安定感もある。さらにスタンドの高さと角度も調整できるため、様々なスピーカーと組み合わせやすい。組み合わせるスピーカーに対してサイズが小さくてもかなり安定するため、後述するように設置の省スペース化にも寄与する。色々と応用が可能な使い勝手のよいスタンドである。しかも価格はお手頃。

Paradigm Persona BとISO Acoustics Aperta Aluminumのセットアップ
【レビュー】ISO Acoustics Aperta Aluminumhttps://audio-renaissance.com/know-how/desktop-audio-speaker-setting...

 これまたスタンドだけでなくインシュレーターにも言えることだが、スピーカーを安定して支えることができていれば、多少スピーカーが机から後ろ・横にはみ出しても特に問題ない(この辺はスピーカースタンドと同じ)。たとえわずかでも机が広く使えることは、デスクトップオーディオにとってはとても重要である。具体的なイメージは下の写真を参照。

机と壁の距離が離れていれば、こんな風にある程度スピーカーが机から後ろに飛び出すセットアップが可能になる

ところで机の耐荷重は大丈夫?

 いろいろと書いてきたが、そもそもの問題として、机の「耐荷重」は大丈夫だろうか?

 調子に乗ってスピーカーをはじめ様々な機器を置いたあげく、天板がミシミシ……なんて事態になったら大変である。万が一にも机が壊れるようなことがあれば置いている機材は全滅だし、そうでなくても重みでひん曲がった天板にスピーカーを置いて実力が発揮できるはずもない。

 私が使っている机は10年前から「fantoni GT」というシリーズで、耐荷重は「等分布で」80kgとなっている。この80kgという数値は、普通にPCデスクとして使うならじゅうぶんすぎるほどだが、Persona Bは14kgもある。つまり、スタンドとあわせて15kg近い重さが机の角部分に集中することになる。デスクトップシステムを今のセットアップにした際、まずは一応置いてみて、目に見えて天板が変形するといったことはなかったが、それでも言い知れぬ不安はあった。

 そこで、「だったら支えればいい」と思い付いた。

 デスクトップシステムの写真を見て、「何だコレ?」と思っていた人は実に鋭い。

 これはつまり、スピーカーの重さを受け止めるための「追加支柱」である。

 カバ材の角材の両端に鬼目ナットを仕込み、上にはアジャスター、下にはスパイクを付けて、スピーカーの重心と机の脚の場所を踏まえつつ、邪魔にならない位置に設置。D-REN Proはここでも滑り止めと振動対策の両方で活躍する。

 いささか単純に過ぎる工作ではあるものの、単にスピーカーの重さを支えると同時に、机/天板の振動をスパイクを通じてスムーズに床に逃がすことも意図しており、実際この支柱の有る無しで音もけっこう違う。音がどうこう以前に、支柱無しだと音楽を鳴らすと机の下の空気が露骨にぶるぶる震えるのを感じていたのが、支柱有りだとほとんどなくなった。本来ユニットを動かすための力が不安定な机を通じて余計なところに散っていたのが改善された結果か、中低域の明瞭度が俄然向上したのは嬉しい収穫である。

 この「支柱」というアイデアは完全に私の思い付きで、はたして私以外の環境に適用できるものなのかは定かではないが、参考にできそうならやってみてほしい。

まとめ

 デスクトップオーディオにおけるスピーカーセッティングは、他のスタイルと共通するごく基本的な事項もあれば、デスクトップオーディオならではの視点が必要な考え方もある。

 まぁ、何度か言っているように、あくまでも日々の暮らしのなかで「楽しむために」デスクトップオーディオをやっているのだから、スピーカーの実力を発揮させるためにセッティングを頑張るのも結局はそこに行き着く。セッティングに拘泥してああでもないこうでもないと唸るばかりだったり、杓子定規に理想を追求したあげく生活空間を壊してしまったりするのでは、それは本末転倒だと言わざるを得ない。

 この記事で提示した形も参考にしつつ、自分にとって最適なデスクトップオーディオの姿を見出してもらえたら幸いだ。

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