みんな大好き音質編。
今回は魔境マシマシ。
「サーバーで音は変わる」ということだけでなく、「LANケーブルで音は変わる」という、一般的な感性からすればどうしようもなく常軌を逸した認識のもとで話を進める。
これもオーディオマニアの悲しい性だ。笑いながら読んでほしい。
さて、較べるのはこのふたつ。
LUMIN L1(SSD 512GB)
QNAP TS-119(SSD 600GB) + ELSOUNDアナログ電源
相手にとって不足なし。
運用編で書いたことにも関わるが、LUMIN L1は置いといてRockDisk for Audioの真の比較対象はTS-119だと思っている。少しばかり価格が高かろうが安かろうが関係ない。RockDisk for Audioが真にオーディオ用NASとしての立ち位置を確立するためには、かつてその立ち位置にあったTS-119を全体的に上回る必要がある、私はそう勝手に思っている。
もっとも、こと音質面に関しては、TS-119は当時の値段で15万以上注ぎ込んでいるのでさすがにフェアではないが……
LUMIN L1>TS-119>RockDisk for Audioという順当な結果になった。
RockDisk for Audioは一言で言えば元気な音。
押し出しが強く、眠い音ではない。
が、全体的に粗い。
対するTS-119は雑味の少ない静かな音だ。
続いてLANケーブルを換える。
TS-119にも使っている、audioquestのforest。LANケーブルで音が変わることを理屈ではなく体験で痛感させたケーブルで、同メーカーの上位であるvodkaと比べても遜色ない抜群のCPを持っている。
押し出しと元気の良さを維持したまま、一気に雑味が減った。LANケーブルの交換に期待する通りの効果が得られた。
LANケーブルをforestに換えた時点で、性格は異なるとはいえ、既に全部入りのTS-119の音に匹敵している。
この結果をもって、やるだけのことをやってみたくなった。
その結果がこの有様。
ラックからトラバーチンのボード(余り物)の上へ移動。
ELSOUNDのアナログ電源はRockDisk for Audioにも使用可能だったので流用。
足元にはクリプトンのインシュレーター(センタースピーカーを外した際の余り物)。
振動対策と設置安定性の両面からもっと重さが欲しかったが、天板を覆うように何か置くのは放熱の関係で無理そうだったので、上にも三点で重り。
珍妙なオブジェクト然とした格好になった。
肝心の音。
電源を換えたおかげか、一気に重心が下がり、にじみが減った。
そしてなにより……強い音。
サーバーとして透明であることを是としたN1Zとも、オーディオ機器的な凄みを提示するLUMIN L1とも異なる、強い音。
かつてサーバーで聴いたことのない種類の音だ。
ただ、表現が一本調子というか、何でもかんでも強調感のある音になってしまう。
力強さを表現することはできても、静けさを表現するまでには至っていないようだ。
toe / the book about my idle plot on a vague anxiety / i do still wrong
この曲のドラムに絡みつくベースは低音の解像度を聴くにはうってつけ。
付属品セットで聴いた時よりはだいぶほぐれるが、さすがにLUMIN L1には及ばない。
結論。
大健闘。
手をかけてやれば決してTS-119に劣らない。
設置の面では手を加えるにも制約があるが、ポテンシャルの高さは大いに感じられた。
おそらくSSDにすれば、落ち着きと静けさが増す一方で力強さが減退する、という結果になるのはなかろうか。
それらを両立しようと思えば、やっぱり……