「LAN DAC」という伏兵。
私が現在使っているSFORZATO DSP-Doradoは、(Uncertifiedだけど)Roon Readyであり、設定次第ではRoonと組み合わせてLAN DACとして使うことができた。とはいえ、Roonと組み合わせて使うよりも、普通にネットワークオーディオプレーヤーとして使った方が明らかに音が良いので、Roon ReadyによるLAN DACとしての使い方はあくまでも素敵なオマケという扱いだった。
ところがどっこい、DSP-DoradoがDirettaを実装したことで、LAN DACは一気に再生システムの中枢に躍り出た。
Diretta/LAN DACが聴かせた音は、問答無用でオーディオ用PCの更新を決意させるだけのインパクトがあった。「純粋なネットワークオーディオへの憧憬」を吹っ飛ばして、「オーディオ用PCとLAN DACを使うネットワークオーディオのシステム」にのめり込ませるだけのインパクトがあった。
私のネットワークオーディオは、LINN MAJIK DS-IとQNAP TS-119、つまり「ネットワークオーディオプレーヤーと単体サーバーを使うネットワークオーディオのシステム」から始まった。LUMIN A1とLUMIN L1を導入した時も、DSP-Doradoとfidata HFAS1-XS20を導入した時も、システムの基本的な形は変わっていない。
PCの各種再生ソフトの専用コントロールアプリが充実したことで、「PCとUSB DACを使うネットワークオーディオのシステム」も現実的になった。その最たるものが、JRiver Media CenterとJRemoteの組み合わせである。
また、DELAが音源の再生機能をアップデートで獲得したことを大きな契機として、「ネットワークオーディオトランスポートとUSB DACを使うネットワークオーディオのシステム」も広く浸透した感がある。この時「PC」と「ネットワークオーディオトランスポート」に機能の差はほとんどなく、両者を隔てるうえで重要なのは「オーディオ機器として作られたか否か」である。
こんにち「ネットワークオーディオのシステム」というと、おおむね上記の3パターンのいずれかに当てはまる。私はいまさらネットワークオーディオ以外のシステムを作る気はないので、「次」もこの内のどれかになるのだろうと当然のように考えていた。
しかし、Direttaの実装によりDSP-Doradoが突如としてLAN DACとして使えるようになり、圧倒的なポテンシャルを示したことで、Roon Ready対応製品を除けばMERGING NADACくらいしか今まで選択肢がなかった「LAN DAC」がシステムの主導権を握ることになった。
Direttaは音の良さはいわずもがな、実際の使い勝手はUSB DACとほとんど変わらず、Roon Readyとは異なり様々なソフトを同時に使い得る自由度が保たれているということも大きかった。これでRoonを活かすためにDSP-DoradoをいちいちRoon Readyモードに切り替える必要もなくなる。
canarino Fils + EL SOUND アナログ電源12V5A
JCAT NETカードFEMTO + EL SOUND アナログ電源5V4A
JRiver Media Center 24(64bit版)
SFORZATO DSP-Dorado(Diretta/LAN DACモード)
SOULNOTE A-2
Dynaudio Sapphire
以上のシステムで我が家の音はまた一線を越えた。
音楽以外がなくなった。
→fidata HFAS1-XS20がDirettaに対応し、またひっくり返された。