【ネットワークオーディオTips】「トンキー病」との出会い――ネットワークオーディオのコントロールアプリに高解像度のアルバムアートを表示する、そこに到る長い道のり

【2015/09/12追記】

この記事は私が呼ぶところの「トンキー病」との出会いについて書いたもの。
トンキー病とは何か、そしてどうすれば直せるかの詳細は、この記事を参照。

 
【2016/06/25追記】

Twonky Server 8.3、さらば、トンキー病

※追記おわり※

 

大方の予想通り、2048×1536という変態的な解像度を備えた「新しいiPad」が発表になった。
私のように、iPadをもっぱらネットワークオーディオのコントローラーとして使い、大きく表示されるアルバムアートを愛でて悦に入る物好きな人にとっても福音である。

ところで、あなたの使っているiPadは、こんな有様になっていないだろうか?

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私が初めてiPadを導入したのは1年半以上前。
最初はDSのコントローラーにiPod Touchを使っていたのだが、すぐにでかいコントローラーが欲しくなったのである。
今までiPod Touchで使っていたChorusDSやらSongBookやらPlugPlayerやらのiPad版を買い、期待に胸躍らせて起動したとき、表示されたのは上記のようなみすぼらしい画像だった。
そんな馬鹿なと思い、ファイル自体を確認しても、やはりアルバムアートは少なくとも500×500以上の解像度のものがタグに入っている。間違ってもこんな低解像度のものではない。
それこどろか、画像検索でロクなものが見つからず、最終手段としてジャケットをスキャン、1000×1000以上にリサイズした画像を埋め込んだ音源でさえ、iPadに表示されるのは腑抜けた画像のみ……
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もちろん、手持ちのコントロールアプリをとっかえひっかえしても変化なし。
どんなアプリを使っても、表示されるのはまるでモザイク画の如き低解像度。

おかしい。絶対におかしい。
こうして私の苦難の道が始まった。

ネットの海を泳ぎまわり、とにかく見かけた情報については全て試してみることにした。

とりあえず、「リッピングソフトによってはアルバムアートを高解像度でタグ付けできない」という情報。曰く、画像そのものは高解像度でも、タグに登録される時点でソフトによっては小さくリサイズされてしまうとかななんとか。
若干首をかしげつつも、当時リッピングにも使っていたMediaMonkeyから、リッピングソフトで音質なんて変わってたまるかと敬遠していたdBpowerampに乗り換え、何枚かリッピング。
LINNが公式に推奨するのだから解決するだろうと思ったら、結果、まったくなんの意味も無し。
dBpowerampのCD Ripperは評判通りメタデータやアルバムアートの収集力も充実していてその点は関心したのだが、アルバムアートの表示解像度とは何の関係も無かった。

そこから発展して「タグの編集ソフトによって違いがあるのか?」という疑問も検証したが、やはり意味無し。
とはいえ、この時に色んなソフトを試した結果、タグ編集ソフトとしてのMediaMonkeyの揺るぎない地位が私の中で確立された。

つまり、音源が原因ではない。
次の検証相手はNASである。

当時、私はLINNに言われるがまま、MAJIK DS-Iと同時にQNAP TS-119を買っていた。
しかも、オリオスペックの“LINN DS仕様”を謳ったモデルである。
この段階で、私はLINNジャパンに直接聞いてみた。


「推奨されたQNAPのTS-119を使うとiPadのアプリに表示されるアルバムアートがみすぼらしいことになってるんですけど……」

LINN
「え? 十分綺麗だと思いますけど? こういうもんなんじゃないんですか?」

うまく状況が伝わらなかったのか認識の共有ができなかったのか、残念ながら話にならなかった。

次に、QNAPの輸入会社と、販売店にも聞いてみた。
すると、両者から同じ回答が返ってきた。

「TwonkyMediaの設定画面の、トランスコードの項目で、“ピクチャサイズを変更・変換”のチェックを外せば大丈夫なはずです」

しかし残念なことに、それは真っ先に私も疑い、検証したことだった。そして、私のTS-119では最初からチェックは外れていたのである。チェックを入れたり外したり、その都度サーバーをリスタートしてもまるで駄目。
5L

そこで、私は力尽きた。
何か私の理解の及ばない領域に理由があるのだと思い、美しいアルバムアートについては不本意ながら諦めることにした。iPadはその操作性のみを享受することにして気を取り直した。

いくらか時間が経ったころ、そんなアルバムアートとは無関係なところで、私は解決の糸口を見つけることになった。
今も昔も、私はリッピング&タグ付けして完成したファイルはバックアップも兼ねてPCに置き、そこから随時NASにコピーするという方法をとっているのだが、NASに入れないとアプリ側からは音源が見れないため、もしそこで何か手違いを見つけると、削除に余計な一手間がかかってしまう。そこで、PCの時点で手違いを発見できるよう、ただそれだけのために、PCにもサーバーソフトを入れることにした。
その時入れたのが、Asset UPnPである。dBpowerampと同じ会社のソフトでモノが良さそうだし、PC用にもTwonkyのサーバーソフトがあるのは知っていたが、NASの中身と同じものを入れるのも芸が無いと思ったからだ。
PC上のAsset UPnPを選択し、選曲し、再生し、何気なく、アルバムアートを拡大してみた。

!?
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ある仮説が浮かんだ。
「ひょっとしたら、TwonkyMediaServerが原因ではないか?」
この時、私は無知だった。QNAP=Twonky、のようなイメージしか持っていなかった。すなわち、そもそもサーバーソフトが一体どういうものかさえ、まるで分かっていなかったのである。

早速私はPCにTwonkyServerを入れてみた。バージョンは【6.034】だった。

!!
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ついに光が差した。
QNAPにビルトインされたTwonkyMediaServerのバージョンは、【5.16】だったのである。(ちなみに購入当初は5.14だった)
バージョンが5から6になると、名称はTwonkyMediaServerからMediaが取れて、TwonkyServerになるようである。
さらに検証を進めた。
今までNASは音源配信にしか使っていなかったが、試しに画像ファイルを入れ、PS3経由で表示してみた。
なんと、荒いのである。
WMPを使ったサーバーからの配信では何の問題も無く表示されるのに、TS-119――TwonkyMediaServer5.16経由では解像度が著しく劣化する。
ここで、私は恐ろしい仮説に達した。

『QNAPにビルトインされたTwonkyMediaServer5.14、5.16、あるいは5.〇〇は、高解像度の画像を配信できない』

とはいえ、仮説を立てたところで解決にはならない。高解像度のアルバムアートのためだけにPCをサーバーにしたのでは、わざわざ大枚をはたいてNASを買った意味が無いし、そもそもPCレスに魅力を感じてネットワークオーディオを導入した意味も無い。
こんなNASを掴ませたLINNジャパンに内心このヤローと悪態を垂れつつ、なんとかTS-119にビルトインされたTwonkyのバージョンを上げられないかとあれこれ試行錯誤するのだが、原因は分かれども解決策が見つからないという辛い日々が続いた。
ちなみにその過程で、QNAPの管理画面からUPnPメディアサーバーを使用のチェックを外すと、なぜかTwonkyMediaの4.……が起動することを発見した。そしてバージョン4.……ではアルバムアートが高解像度に表示されたことで、前述の結論が補強されることとなった。そのまま4.……を使えればよかったのだが、やはり何かのイレギュラーらしく、ナビゲーションツリーは妙なまま変えられず、動作も不安定極まるということで断念せざるを得なかった。
懲りずにQNAPの管理画面を色々眺めていると、[アプリケーション]→[QPKG]の中に、なんとTwonkyServerのアイコンを発見した。しかもバージョンは6.030とある。
興奮しつつQPKGについて調べてみると、QNAPの恵まれた処理能力を活かして機能拡張を行う一種のアプリのようなものらしい。
小躍りしながらQPKGのTwonkyServerをインストール。ビルトインのTwonkyMediaServer5.16を使わず、QPKGのTwonkyServer6.030を使う形である。
アプリを見ると、QNAPの名で表示されるアイコンがきちんとTwonkyServerのバージョン6以降のものに変わっている。
期待に胸を膨らませ、アルバムアートを拡大した。

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私は再び力尽きた。

それから数ヶ月後。
考え得る手を打ち尽くした私はもどかしさを胸に日々過ごしていた。
ある日、TwonkyServerとは何の関係も無い、QNAPのいつものファームウェアアップデートをしてみると、

!?
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QPKGのTwonkyServer6.030を無効化し、ビルトインのTwonkyMediaServer5.16を有効にする。

……
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再び、QPKGのTwonkyServerを有効にする。

!!!!
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なぜ、どうしていきなり? 疑問は出たが、すぐにどうでもよくなった。
ようやく、iPadを買った本来の目的を達成することができた。
今から1年ほど前のことである。

その後も、いきなり以前のようにアルバムアートが低解像度で表示されるといった事態にも出くわしたが、その都度トライ&エラーの繰り返しで解決策を見つけ出していった。

そして去年の暮れ、QNAPのファームウェアバージョン3.5.2が公開された。
何気なく内容を見てみたら、なんと、ビルトインのTwonkyのバージョンが6.034に上がるらしい。
遅いんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!と叫びつつ、アップデート。
こうして、ようやく、ようやくビルトインのTwonkyServerでアルバムアートの高解像度配信が出来るようになった。

以上、備忘録である。

そもそも私はプログラマーでもSEでもないので、システム的に深く突っ込んだ話はまるで分からない。
ネットワークオーディオに関する上記の現象や知見は、あくまで私の環境におけるトライ&エラーの結果として得られたものであり、理論的に技術的にシステム的に正しいのかどうかの保証は無い。

QNAPを使った場合のアルバムアートの高解像度表示については、結局のところ“気長に待っていれば”なんとかなった問題なのだが、ネットワークオーディオ全般を必死にあれこれ研究したおかげで、雑誌等に載っているアプリのスクリーンショットや写真を見ただけで「あー全然わかってないなこの人」と瞬時に判るくらいにはなったし、サーバーソフトやアプリに関する知見も大いに得られた。
日々是勉強である。

では最後に。

こうなっていないだろうか?
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きちんとこうなっていますか?
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サーバーソフトの紹介 『Twonky Server』

Twonky Server 導入・設定・運用編

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

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