急に登場したLINNの新作アプリ。
例によってメディアではべた褒めされているが、はたして実態やいかに。
本来であればKazoo Serverとのセットで運用すべきアプリなのかもしれないが、サーバーまで限定されるのは流石にどうかと思うので気にせずTwonkyServerを使用する。
デザインからして、おそらくタブレット専用のアプリになる気がする。→スマホ版も登場した。
なお、KazooはOpenHome専用のコントロールアプリである。
UPnP/DLNAにのみ対応するプレーヤーをKazooで操作することはできない。
【基本情報】
製作:LINN
汎用/専用:LINN DS専用と言いつつ汎用(※1)
対応OS:iOS・Android・Windows・Mac
スマホ/タブレット:タブレット
縦画面/横画面:両対応
価格(2014年11月時点):無料
※1:開発元はLINNで、DS用のコントロールアプリであることは間違いないのだが、OpenHome対応プレーヤーで使える汎用アプリという性格も持っている。
【2017/02/01追記】
OpenHomeに対応したプレーヤーでも、Kazooでは操作できない場合がある模様。
一例として、LUMINのプレーヤーは以前までKazooで操作できていたのが現時点ではできなくなっている。
2017/02/07現在、また使えるようになっている。どうなってんだ……?
【2016/02/02追記】
android版に加えてiPhone版も登場。
iPad版のデザインも刷新。
詳細はこちらの記事にて。
【機能】
再生:○
一時停止:○
停止:×
曲送り(スキップ):○
シーク:○
ランダム:○
リピート:○
音量調整:○
ミュート:○
プレイリストでの再生管理:○
プレイリストの保存:○
タイル表示:×
音源の検索:○
アルバムアートの拡大表示:○
アルバムアートの縦横比維持:△(ブラウズ時に問題あり)→改善された
高解像度対応(Retina):○
音源のスペック表示:○
機器の入力切替:○
電源のオンオフ:○
機器の再検索:○
接続のロック:○
その他の機能/特筆事項:Kazoo Serverと組み合わせた際にどうなるかは未確認
【インターフェース/デザイン】
最後に使用した機器との接続は安定している。
全体的にフラットでシンプルなデザイン。
【再生画面】
操作ボタンは画面上部に集中している。
音源のタイトルや再生時間が表示されているウィンドウをタップするとアルバムアートが拡大される。
わけあってとりあえず縦画面。音源情報等、シンプルによくまとまっている。
ちなみにシークはこの画面でしかできないようだ。
【プレイリスト】
プレイリストは画面右上のボタンをタップすることで表示される。スマホならともかく、タブレットでプレイリストが画面に常駐しないのはいかがなものかと思うがどうだろう。何をするにもいちいちアクションが一つ増えてしまう。
なお、リピートとシャッフルもプレイリストウィンドウの中にある。
「Edit Playlist」
「Remove」で一曲単位での削除と「Remove All」で一括削除。
あれ、曲順の変更は? プレイリストの保存は?
プレイリストウィンドウ下部の不自然なスペースが怪しいが、まさかKazoo Serverと組み合わせないと使えないとか? え?
NetAudio16巻にはできるって書いてあるんだが、おかしいな……
→駄目でした
ブラウズからプレイリストに登録する際の挙動は、アルバム・トラック単位それぞれで、
・Play Now:選択した音源をプレイリストの末尾に登録し、今すぐ再生
・Play Next:選択した音源をプレイリストで“現在再生中の曲”の次に登録
・Play Later:選択した音源をプレイリストの末尾に登録、再生はしない
という6パターンが用意されている。アルバムだと「Play All Now」という具合。選択肢が常に画面に表示されるようになり、Kinskyよりもさらにわかりやすくなった。
【ブラウズ】
リスト表示とタイル表示が選択可能。タイル表示はLINNが自慢するだけあって確かに見目麗しいレイアウト。
が、タイル表示にするとスクロールはガタガタになる。
ところで、コレを見てほしい。
サガのバトルアレンジの横長アルバムアートはそのまま表示されている一方で、マスターチーフとアービターが縮んでいる。
んー? と思ってアルバムアートを拡大してみると、拡大時にはきちんと縦横比が維持されている。
どうやらブラウズ時のみの問題のようだ。
検索機能あり。
LINN曰く、「Kazoo Serverとの組み合わせによって従来のサーバーソフトでは難しかった、楽曲の作曲者でのアルバム検索が可能に」とのことだが、TwonkyServerのナビゲーションツリーにだって普通に「作曲者」はあるんだよなあ、と。
画面左上のフォルダ形状のボタン、右のボタンで一階層戻り、左のボタンをタップするとナビゲーションツリーの最初まで飛ぶ。
【機器の選択/その他の機能】
画面左上、表示されているプレーヤーの名称をタップすると使用するプレーヤーの選択ウィンドウが表示される。
画面左上、家のボタンをタップすると入力切替と「Settings」が表示される。
「Settings」
「Media Server」で使用するサーバーの選択。
「Rescan Network」で機器の再検索。
「Prevent Auto Lock」でスリープするしないの設定。
【各項目評価】(3段階・詳細はこの記事を参照)
インターフェース/デザイン:2
再生画面:2
プレイリスト:2
ブラウズ:2
機器の選択/その他の機能:2
安定性:2
動作レスポンス/速度:2
【速度計測】(詳細はこの記事を参照)
普段使い
1回目:119.7秒
2回目:93.3秒
3回目:94.7秒
平均:102.5秒
アルバムスクロール完走
141.3秒
【総合評価】(タブレットは5段階)
4 ― よく出来ている
※2016/09/09、評価を3から4に更新
【使用感・コメント】
端的に言って、「惜しい」アプリと言えそうだ。
LINNがこのアプリで何をしたかったのかはよくわかる。
余計な装飾をそぎ落としてインターフェースをシンプルにし、今流行りの(?)フラットデザインを実現するとともに、タイル表示を導入して見た目を華やかにする。パッと見、いかにも「今風」なデザインで魅せる。
しかし、その結果として画面に表示される情報量は減り、Kinskyに比べると音楽を聴くうえで必要な動作が増えてしまった。特にプレイリストが常駐しないのは痛い。というより、なぜそんなデザインにしたのかわからない。
レスポンスも良いとまでは言えず、タイル表示にした際のスクロールはガタガタである。
Kazoo Serverとの組み合わせで真価を発揮してレスポンス等も改善されるのかもしれないが、現状ではまだまだ練り上げ不足と言わざるを得ない。
色々と厳しいことを書いたが、決して出来の悪いアプリではないし、必要な機能はきちんと備えているので使い物にならないわけではない。Kinskyから進歩している点もある。また、このシンプルさを好む人もいることだろう。
今後のさらなるブラッシュアップに期待したい。
※2016/09/09追記
地道なアップデートを重ね、デザイン・操作感ともに随分と使いやすくなった。詳細はこちらの記事にて。
LINN DS用にとどまらず、OpenHome対応プレーヤー用の汎用コントロールアプリとしておすすめできる。