Welcome to Roon 2.0! - Roon Labs
というわけで、Roon 2.0が公開された。
ちょいと前からアーリーアクセスの対象になっていたので、その際の所感も含めて紹介する。
それにしても、私が初めてRoonを紹介してから7年、ついにRoonのバージョンが2に移行したのだと思うと、ちょっと感慨深い。
目次
Roon 2.0概要
Roon 2.0の最大のむしろ唯一の目玉は、「Roon ARC」という新たな機能/アプリを使って、家(厳密にはCoreを置いているネットワーク)の外からRoonにアクセスできるようになった、というもの。
要は、外でもRoonを使って音楽を聴けるようになった。
Roon ARCからは、ポータブルオーディオ全盛の現代、今までまったく縁のなかったユーザーにまでRoonの存在をアピールしたいというRoon Labsの思惑を感じる。
確かに、Roon ARC自体は有用にして価値のある機能といえる。家の外にRoonならではの音楽体験を持ち出すことができ、自前の音源についてはダウンロードしてのオフライン再生も可能。これは事実上、家の中と外の両方で、Roonで一元的に音源を運用できることを意味する。
「家ではRoonを使って聴くけど、外用の音源はそれとは別にスマホに保存して別の再生アプリを使って……」なんてことが必要なくなるわけだ。
ただ、いくら「Roonがあなただけのストリーミングサービスになります」と言ったところで、はたしてどこまで新たな需要が掘り起こせるのか、正直見当もつかない。
私なんかは基本家の中でしか音楽を聴かないので、Roon ARCの話を聞いた時、「外からRoonにアクセスする必要ある???」というのが素直な感想だった。んでその後、「車を長時間運転することも多いし(田舎あるある)、そういうちょっとした用途でなら有効利用できそう」と思った程度だ。もっとも、実際Roon 2.0の紹介動画でも真っ先に車が出てくるあたり、Roon Labsとしてもそこが狙い目の一つであることは間違いない。
あとは、先述のようにポータブルオーディオを主戦場とする音楽ファンがどう思うか、だろう。
Roonの核心にして本質的部分は何も変わっていないにしても、「家の中でしか使えなかった」Roonが、「家の外でも使えるようになった」ことをもって、「1から2」へのバージョンアップとするのは、まぁわからないではない。少なくともRoonの可能性そのものは大きく広がった。
Roon ARC以外のアップデート内容としてはApple Siliconへのネイティブ対応やらサポートするプラットフォームの変更など。そこまで気にするようなものではない。
なお、サポートするプラットフォームの変更は実質的な切り捨てを意味するが、少なくとも2022年いっぱいはRoon 1.8のサポートは継続されるようだ。
Roon ARCについて
Roon 2.0にあわせて提供されるアプリ「Roon ARC」は、外から家のRoonにアクセスする。
つまり、家で自分のRoon Coreが動いていないと、Roon ARCは使えない。
つまりつまり、「これからはスマホだけでRoonが使える」なんてことにはならない。冷静に考えれば一瞬でわかることだが、一応書いておく。
Core側の設定
Roon ARCを使うためには、まずCoreの設定で使える状態になっているか確認する必要がある。
ルーターの設定なり何なりを確認して、「Ready」になればCore側の準備は完了。
Roon ARC(アプリ)
Roon ARCは同名の機能を使って外からRoonにアクセスするためのアプリで、iOS版とandroid版が用意されている。
以降、私のiPhone 8を使って画面やら設定やらをざっと紹介する。
まずはRoonのアカウントでログインして自分のCoreと接続する。
自前の音源は端末にダウンロードしてオフライン再生が可能。ダウンロードした音源はホーム画面のアイコンから表示できる。
ストリーミングサービス(ここではTIDAL)の音源はダウンロード不可。
シグナルパスを見ると、Wi-Fiではなく電話回線を使っている場合はCoreの側で256kbsのロッシーに変換して再生されていることがわかる。
ダウンロードした音源はオリジナルのまま。もっとも、そこからiPhoneで再生できるようにアレコレと整形されるわけだが。
電話回線を使っている場合、TIDALの音源はAACで流れてくるようになる。
Wi-Fiで繋げば、手持ちの音源もストリーミングサービスの音源もオリジナルフォーマットで流れてくるようになる。
「自動で最適な品質を選ぶ」のチェックを外せば、Wi-Fiを使う場合と電話回線を使う場合でそれぞれ「どんな感じでストリーミングするか」を個別に設定することも可能になっている。外で使う場合は通信量という大きな問題があるので、この辺は状況に応じてうまいこと設定したい。
そんなわけで、やろうと思えば「家のCoreからオリジナルフォーマットでストリーミングした音源を使って出先で試聴する」なんてことも不可能ではない。
Roon ARCはだいたいこんな感じ。
それにしても、Roon ARCはRoonの機能にフルにアクセスできないとはいえ、そのぶんUIが整理されていて「純粋に音楽を聴く」ためなら、Roon Remoteのスマートフォン版よりずっと使いやすい印象を受ける。レスポンスも取り立てて不満が出ないレベルであり、素直に感心する。
Roon 2.0に思うこと
私が初めてRoonを紹介した記事のタイトルは、「Roonは音楽鑑賞の未来たり得るか」だった。
それから7年、「音楽の海」という隔絶した音楽体験をもってRoonは良くも悪くもファイル再生の領域を席巻し、「未来」は既に「現在」となった。
そしてRoonは2.0で「家の中」から「家の外」にまで拡大した。次はどこへ行くのだろうか。
ま、バージョン2は始まったばかりだし、現状で特に困っていることもないので、気楽にこれからの展開を、かつてバージョン1が私たちをあっと驚かせたような何かを期待するとしよう。