OPPO UDP-205は色々多芸なUHD BDプレーヤーであり、DLNA準拠のネットワークオーディオプレーヤーとしても機能する。
で、テレビに映しながらネットワーク再生を行うと、こんな感じに現在再生中の音源の情報が表示される。
BDプレーヤーやAVアンプなど、映像出力を持つネットワークオーディオプレーヤーではあるあるの機能/光景である。
くわえて、UDP-205はRoon Readyにも対応する。
ある時、偶然UDP-205の画面をテレビに映した状態で、Roon Readyプレーヤーとして(RoonのOutputに使って)再生を行った。
すると、再生している音源の情報が、アルバムアートを含めてテレビに表示されたではないか。
Roon Readyをはじめ、Roonのシステムの根幹を成すRAATというプロトコルは非常に多機能であるということは認識していた。
他のRoon Readyに対応するプレーヤー、例えばLUMINの製品でも、こんな感じでディスプレイには諸々の情報が表示される。
だから、RAATが「音声データ以外の情報も送っている」ということは以前から知っている。
が、諸々の情報がネットワークオーディオプレーヤーのちっこいディスプレイに表示されたところで実用上の意味を持たないため、「ふーん」程度にしか思っていなかった。RAATが実際に意識される機会はRoonのシグナルパスに表示されるのを見る時くらいで、実際に「RAATすげえな」などと思うようなことはほとんどなかった。
そんななか、UDP-205をRoon Readyプレーヤーとして使うと、再生している音源の情報がアルバムアートを含めて画面(映像出力先のディスプレイ)に表示されるのを見て、オオッとなったのである。RAATすげえな。
Roonのシステムで再生機能を担うのは「Core」である。ゆえに、組み合わせるRoon Readyプレーヤーは基本的にDA変換(あるいはDD変換)をしていればよく、音声データと無関係な情報を扱う必要はないはずだ。
にもかかわらず、Roon Readyプレーヤーとして使っているUDP-205がアルバム名だのアーティスト名だのにくわえてアルバムアートさえ画面に表示しているということは、実際にRAATがそのような情報も送っているということを示している。Roon Readyプレーヤーとして使っているUDP-205の表示を外部ディスプレイで楽しむニーズがあるかどうかは謎だが、ユーザー・エクスペリエンスを重要視する=単なるデータ再生以上の音楽体験を提供しようというRoonの思想が端的に表れているともいえる。ちなみにRoonとChromecastとの組み合わせは、UDP-205以上にRAATの性格が発揮されていて面白かった。
一方で、このようなRAATの振る舞いは「DA/DD変換を行う機器に余計な仕事をさせている」という捉え方もできる。逆に、「可能な限り機器に負荷をかけない」という思想でプロトコルを作ると、こういうことになる。
「映像出力を持つRoon Readyプレーヤー」であるUDP-205のおかげで、RAATとDirettaの思想の違いがより鮮明に感じられた。