DAVEの試聴機が我が家にやってきた。
しかもLUMIN U1との接続というなんとも豪華な組み合わせである。
まずは素の状態というか普通の環境で試すべく、いつものノートPCと組み合わせた。
再生ソフトには出音がニュートラルなJPLAY/JPLAYStreamerをシングルで使用。
……
…
問答無用、強烈に「凄い」と感じさせる音。
猛烈な解像感と分離の良さ。
特に分離の良さはかつてないレベルで、一音一音の存在感が際立ちつつも決して混濁せず、空間はあまり広くないにも関わらず恐ろしくほぐれている。
まるで超絶精緻な音のオブジェを眺めているかのようで、凄まじいオーディオ的な快楽を味わえる。
情報量は異様なほど豊富。ソースの底の底から根こそぎえぐり取ってきたような凄みがある。
逆に情報量がありすぎるせいで、常に空間に音が浮遊している感覚があり、結果的に静寂の表現は不得手に感じた。空間が闇に染まらない。
出音は上にも下にも伸びているが、特に低域の充実が著しい。重く、強く、鋭く、弾む、実に魅力的な低音である。
全帯域に渡って鮮烈にして躍動感に溢れ、LUMIN A1の音がぬるく感じられるほど。
色彩感も非常に豊かであり、音楽全体が色鮮やかで煌びやかなイメージを纏う。
聴いていてめっぽう楽しい。
大規模で音数の多い音源ではかつてない音を聴かせる反面、ピアノとボーカルだけといったシンプルな音源では声に妙な響きが乗っているのが気にかかる。この響きは魅力と捉えることもできそうだが、うーむ。
妙とは言ったものの、この響きとは本来音源に収録されていた微小領域の情報で、DAVEによって掘り起こされたディテールなのかもしれないが、そこまでは判別できない。
情報量や音自体の魅力に比べれば、左右前後上下の空間表現はそれほどでもない。
強烈な音の魅力、オーディオ的な快感を感じる一方で、常に人工的な印象も付き纏う。間違いなく「良い音」ではあるが、「自然な音」とは思えない。また、「滑らかな音」とも性格を異にする。
全体的に「強い音」なので、好き嫌いは分かれるかもしれない。あるいはCHORDが音源からえぐり取った情報量があまりにも膨大なために、それを私が処理しきれず、結果として「強い音」と感じているだけの可能性もある。
いずれにせよ、細かな好き嫌いを超越するだけの絶対的音質を備えていることは間違いない。
で、LUMIN U1と組み合わせる(USB接続)と、DAVEの音に新たな魅力が加わる。
PCに比べ、静寂感と音の繊細さ・滑らかさが向上し、一気に落ち着いた印象になる。それと引き換えに、DAVEの特質であろう音の色彩感と存在感は少々減衰する。
中央にまとまっていた音がうまいぐあいに前後左右に展開し、音場は明らかに広がりを見せる。それでいて、PCとの接続では個々の音が猛然と存在を主張していたのに対し、LUMIN U1では音楽全体の一体感が向上している。
全体的に耳馴染みが良く、すんなりと音楽に浸れる。A1を凌駕するオーディオ的基礎体力とLUMINならではの音楽の演出から、どことなくS1の雰囲気も見え隠れする。
今までのオーディオ機器の延長線上にあるのはこっちの音だろう。
LUMIN U1はUSB DACに対する影響力が強いというか、LUMINの音、それもA1めいた音に演出する傾向があるため、それ自体で強烈なDAVEの個性は良くも悪くも薄まることになる。組み合わせによって両者の美点を完璧に兼ね備えると言えればいいのだが、なかなか難しいところである。
どっちに転んでも高い次元であることに変わりはない。
いやはや凄いものを聴いた。
凄いものを聴いてしまったので、我が家の再生系についても色々と考えてしまう。