最初にさらばと言った途端SongBook HD(iPad版)とSongBook 2(iPhone版)が登場したSongBook。
LINN DS専用アプリとしてネットワークオーディオの黎明期に一早くコントロールアプリの理想像を体現したSongBookDS、それをUPnP準拠のプレーヤーで汎用的に使用可能にしたSongBook Liteと、SongBookはネットワークオーディオの発展――ユーザビリティの向上という点で途方もなく大きな役割を果たしてきた。コントロールアプリの基本要素を理想的に備えたSongBookDSという完璧な教科書があったからこそ、後に続くChorusDSやLUMIN Appがあったのだと思っている。
ただ、装いも新たに登場したSongBook HDは……様々な新機軸を搭載したものの、動作が著しく不安定という致命的な問題を抱えていた。
それでも、いつかは安定性も改善されるだろう、少々とっ散らかった感のあるデザインも整備洗練されるだろうと思っていた。
しかし残念ながら、最後のアップデートから1年以上更新が途絶え、安定性を欠いた状態はiOSのバージョンアップもあって益々酷くなっている。というより、動作がガタガタでもはやまともに使えない。
さらに、同時期に登場したことに加えて似たデザインを持つ、LINN純正(かつOpenHome対応機で汎用的に使用可能)のKazooが地道なアップデートを重ねて非常に使いやすくなったことで、SongBook HDを使う意義が薄れてしまった。
ついでに、いろいろと野心的なことをやりたそうにしていた開発元のBookshelf Appsのページも消滅した。
時代は変わる。
そろそろ別れの時だ。
今度こそさらば、SongBook。
ネットワークオーディオの発展に寄与した偉大なコントロールアプリの存在を、せめて私だけでも記憶に留めておこう。