【Dolby Atmos/DTS:X】トップスピーカーの選択②―― ECLIPSE TD307MK2A
オブジェクトオーディオ環境のため、トップスピーカーとして選んだスピーカーである。
移動感の十全な表現のために4本。
将来的に部屋を完全に真っ黒にすることも考えて、色は黒一択。
ちなみに1個ずつ微妙にスタンドと本体の取り付け角度が違う。あくまで単品売りのスピーカーなので、そこんところはユーザー側の調整が前提なのだろうか。
黒を目にするのは初めてなのだが、想像していたよりも高級感がある。
丸っこい形状は、天井にあって音響的な悪さをしないという点でも意味があるはず。
背面。やはり微妙に角度が……
裸線のスピーカーケーブルではなかなか結線が大変そう。
台座の裏面。壁/天井取り付けの金具にもなる非常に重要なパーツ。
四隅にはちょっとしたインシュレーターが付いている。
AVアンプも届いていないし、そもそもトップスピーカーとしての用途しか考えていなかったので、工事まで放置しよう……とも思ったが、やはりコレで音楽を聴いてみたくなった。どこまで音量が出せるかを確かめたかったというのもある。
というわけで、AVアンプがなく手持無沙汰のNmode X-PW1にiPad(のNe PLAYER)とiFI nano iDSDを繋いで即席のシステムを作り、鳴らしてみた。
………
……
…
正直言って、最初に音が出た瞬間、「これはやっちまったか……?」とおののいた。
全面的に悪い意味で、今まで聴いたことがないような、どうしようもない音だった。
聴き慣れた曲を聴いても、まったく違う楽器の演奏をバックに、まったくの別人が歌っているようにしか聴こえない。もはや高音がどうとか低音がどうとか言っている場合ではない、そんな有様だった。
とりあえずCorrinne May / Beautiful Seedをそれなりの音量でかけっぱなしにしたまま風呂に入って、上がってきたら、あら不思議悪夢は去り、普通に聴けるようになっていた。その後もどんどんと音がほぐれていった。
そりゃ初音出しの直後は急激な音の変化があるとは言うが、まさかこんなにも変わるとは……
天井に付ける前に鳴らして/ほぐしておいて本当に良かった。もう1ペアも後でやろう。
で、肝心の音は、おおむね期待した通りのものが出ている。
とりあえず下まで伸びないのでスケール感は出ず、上まで伸びないのでどこか詰まった感は否めない。とはいえ、低音については「重さ」は出ずとも「鋭さ」はそれなりに出るので、音源によってはさほど物足りない印象は受けない。用途を見越して映画のサントラを色々と聴いてみたところ、じゅうぶん満足できる再生が得られた。いずれにせよ、低音は同社のサブウーファーが担当することになる。
期待していた定位感・解像感・音離れの良さはなかなかたいしたものだ。響きの豊かさとは無縁である一方、そのぶん見晴らしの良い空間表現に長けている。
音色は無色透明……というよりは、淡泊。淡々としてそっけない。そこに美点を求めたわけではないので、別にいい。ボーカルを聴くと清涼感があって良い。
日頃Sapphireで聴いているのと同じくらいまで音量を上げても、歪んだり割れたり吹き飛んだり爆発したりすることはなかった。かなり無理をしているというかいっぱいいっぱいになっている感はあるが、とにかくよかった。これならば、私の環境でトップスピーカーとして苛烈に鳴らしても問題あるまい。
サブウーファー共々、これから長い付き合いになりそうだ。