色々な呼び方があるけれど、映画、アニメ、ゲームといった映像コンテンツの「音声仕様」は、「音声形式」と「チャンネル数」で成り立っている。
例えば一言で「サラウンド対応」と言っても内容は様々であり、音声仕様は「どれだけの音がコンテンツに込められているか」という指標にもなる。
この記事では、とりあえず細かいことは抜きにして、映像コンテンツの音声仕様をどう捉えればいいのかを紹介する。
はたしてこの作品の音はすごいのか、それともすごくないのか?
目次
音声形式
ドルビーデジタル(Dolby Digital):それなり
DTS:そこそこ
リニアPCM(Linear PCM):すごい
ドルビーTrueHD(Dolby TrueHD):すごい
DTS-HD Master Audio:すごい
ドルビーアトモス(Dolby Atmos):理想形
DTS:X:理想形
いきなりマニアックになる必要はなく、初心者ならまずはこの程度の認識で構わない。
気になる人は色々調べてみるといい。
チャンネル数/スピーカーの設置場所
音声仕様における「チャンネル/Channel」とは、つまるところ音の出口となる「スピーカー」のこと。たいていの場合、「ch」と略して書かれる。
チャンネル数は「スピーカー○本ぶんの音を収録している」ということであり、「この作品の音を完全に再生するためにスピーカーが○本必要」ということでもある。
それと同時に、「私のシステムは5.1chです」という風に、再生環境/スピーカー構成の説明にも使われる。
映像体験&ゲーム体験の向上にとって、チャンネル数は音声形式よりもずっと重要になる。
サラウンドのシステムでは、設置場所に応じてスピーカーそれぞれに呼称がある。
サブウーファーの置き場所はあまり気にしなくてもいいと言われるが、経験上、なるべく視聴位置より前に置いた方がいい。
実際のシステムにおいて、チャンネル数は以下のようになる。
2ch:左右のフロントスピーカーで2本。ステレオ。基本形。テレビのスピーカーも2chステレオ。
2.1ch:2chにサブウーファー(低音専用のスピーカー)を追加。
3ch:2chの中央にセンタースピーカーを追加。声が画面と完全に一致する効果がある。
3.1ch:3chにサブウーファーを追加。
4ch:2chにサラウンドスピーカーを2本追加。この段階でサラウンド感はほぼ完璧。
4.1ch:4chにサブウーファーを追加。
5ch:フロント+センター+サラウンドで計5本。
5.1ch:5chにサブウーファーを追加。一般に完成形と見なされる。
6.1ch:5chにサラウンドバックスピーカーを1本追加。後方の音がさらに充実。
6.1ch':4.1chにサラウンドバックスピーカーを2本追加。
7.1ch:フロント+センター+サラウンド+サラウンドバック+サブウーファー。
○.2ch:サブウーファーを2本追加。AVアンプの機能による。
○.0ch:サブウーファーを使わない構成を強調して、こう表現する場合がある。4.0chとか。
7.1chを越える本数のスピーカーを活かすには、AVアンプの側でなんらかの拡張処理を施すか、再生する音声形式がDolby AtmosやDTS:Xである必要がある。
以下はDolby Atmos/DTS:Xに対応するチャンネル数/スピーカー構成の例。
5.1.2ch:5.1chにトップスピーカー(天井に設置)を2本追加。
7.1.4ch:7.1chにトップスピーカーを4本追加。
音声形式 × チャンネル数 = 音声仕様
はたしてこの作品の音はすごいのか、それともすごくないのか?
ドルビーデジタル 2ch:えぇ……
リニアPCM 2ch:スタート地点(CDもリニアPCM 2ch)、音楽ものならこれでじゅうぶん
ここから「サラウンド音声」
ドルビーデジタル 5.1ch:すごい
DTS 5.1ch:すごい
リニアPCM 5.1ch:すごい!
ドルビーTrueHD 5.1ch:すごい!
DTS-HD Master Audio 5.1:すごい!
リニアPCM 7.1ch:すごい!!
ドルビーTrueHD 7.1ch:すごい!!
DTS-HD Master Audio 7.1:すごい!!
オブジェクトベースであるDolby Atmos/DTS:Xはチャンネル数が定まっておらず、AVアンプの処理能力と実際に設置するスピーカーの本数で多くのバリエーションがある。
つまり、「Dolby Atmos ◯.◯.◯ch」と言った時、それはコンテンツに収録されているチャンネル数ではなく、それを再生するために個々のユーザーが構築したスピーカー構成を意味する。
ドルビーアトモス 5.1.2ch:よくぞここまで
DTS:X 5.1.2ch:よくぞここまで
ドルビーアトモス 7.1.4ch:ついにこんなところまできてしまったのか
DTS:X 7.1.4ch:ついにこんなところまできてしまったのか
これ以上:どこまでいくんだよ……
映画やアニメといった映像作品はもちろん、ある程度の規模で作られた昨今のゲームの音声は、基本的にサラウンドに対応していると考えていい。
「なんだこのテキトー極まる解説は!」と思うかもしれないが、実際のところこの程度の認識でも、各種規格の内容を知らずとも、楽しむぶんにはまったく問題ないのである。
それでも気になるというのなら、既にあなたは立派なホームシアターファンだ。
まとめ
映画、アニメ、ゲームなど、映像コンテンツの音声仕様に「5.1ch」や「7.1ch」と書かれていたら喜ぼう。
サラウンド音声で映像体験やゲームプレイは大化けする。ホームシアターの出番だ。
ただし、たとえ音声仕様が「2ch」だったとしても、音質にこだわったオーディオシステムは映像体験を目覚ましく向上させ、ゲームもまた、もっともっと面白くなることは確かである。
音声仕様にかかわらずコンテンツの魅力を最大限引き出すために、再生環境にこだわろう。