Roon、最新版「1.3」をリリース。アップサンプリングやEQなど大幅な機能追加 - Phile-web
久々の大規模アップデート。
追加された機能の一覧は公式フォーラム等を見てもらうとして、この記事では私が気になった機能に絞って紹介・検証する。画像は基本的にクリックして拡大を推奨。
とにかく内容が盛りだくさんなので、まずはライブラリ機能編。
・フォルダ内の画像やPDFが閲覧可能に
「居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌に尽くしがたい快適さ」というネットワークオーディオの真のメリットの実現のため、ある意味最も期待していた機能。こんなのに期待するのは私くらいだろうが。
アルバム画面に新たなアイコンと数字が表示されている。
この場合は「画像が3枚ありますよ」ということ。
Flook / Rubaiのフォルダにはアルバムアートとして「folder.jpg」と「back.jpg」を置いている。さらにタグのアルバムアートも別枠で扱うことで、画像が3枚ということになっているようだ。
Roonでアルバムアートをぽちっとやると従来通り拡大表示されるのにくわえて、複数の画像がある旨が画面下部に示され、すべて選択して表示可能。ついでに拡大表示の状態からアルバムアートをぽちっとすると全画面で表示されるようになった。
ちなみにメインで表示されるアルバムアートはファイルのタグ由来もしくはRoon自身のデータが使われる。
すると……!
サファリが開いた。(iPadの場合)
Roonの中で専用のビューアー的な何かが現れるのかと思っていたらこの通り。
ちなみにWindowsだとAcrobat Readerが開く。確実と言えばそうなのだが、うーむ。
・ソーシャル機能
個人的には別に……と思っていたが、想像以上に充実していたので紹介。
まず、曲をシェアする場合。
アルバム画面の曲のメニュー、あるいは再生画面のメニューから「Share」を選ぶ。
するとこんな具合でシェアする情報を選択する画面になる。
曲名、アーティスト、アルバムだけでなく、参加スタッフや歌詞(Roonのデータベースにあれば)まで含めることができる。ところで、最近の情勢を鑑みるに歌詞って大丈夫なのか……?
で、TwitterかFacebookかを選んで投稿。
シェアに際してRoonが作ってくれた画像を保存することもできる。
続いて、アルバムをシェアする場合。
基本的にやることはおんなじ。
・ダイナミックレンジ解析機能
間違いなく目玉の一つであろう機能。
ライブラリ上の音源のダイナミックレンジを自動解析して、EBU R128規格に基づいて数値化し、アルバム/曲ごとに表示するというもの。
なお、解析の対象になるのは自前の音源のみ。
Dynamic Range - Roon Knowledge Base
さて、いかにもオーディオファイルらしい発想に基づき、同じアルバムをCDとハイレゾ音源で比べてみる。
「View File Info...」から各曲のダイナミックレンジが確認できる。
…………
まぁ、音源によって色んな事情があるのだろう。
ちなみにRoonは総合メニューの「Tracks」から、ライブラリの全音源をダイナミックレンジでソートすることもできる。
そして我が家で最強のダイナミックレンジを誇る音源は……
クラシックやサウンドトラックが上位を独占するという結果になった。
ダイナミックレンジが大きいことと高音質であることは必ずしも直接結び付かないにしても、実際に聴いて「極大のダイナミックレンジだ!」と感激した二曲が含まれていてなんだか嬉しい。私の耳もそれなりにアテになるようだ。
Reference Recordings強し!
大植英次・ミネソタ管弦楽団 / Stravinsky: The Song Of The Nightingale, The Firebird, Rite of Spring 88.2kHz/24bit FLAC
大植英次・ミネソタ管弦楽団 / Respighi: Belkis, Regina di Saba, Ballata delle gnomidi & Pini di Roma 88.2kHz/24bit FLAC
ダイナミックレンジ解析について一通り面白がった後でアレだが、正直なところユーザーの興味関心を満たす以上の使い道はあるのだろうかと思わなくもない。
とりあえず、ラウドネスウォーが叫ばれる現代において、自分の聴いている曲のダイナミックレンジはどんなものなのかを把握できるという意味はあるか。
・「Composition」関連の機能強化
これまた間違いなく目玉の一つであろう機能。
「Composition」はいわゆる「楽曲」のことで、以前のバージョンでは「Works」と表記されていたもの。
Roon 1.3のアルバム画面。
曲の右側にアイコンと数字が表示されている。
これは「同じ曲がライブラリ/TIDALの中にいくつあるか」を示す。
あくまでも「同じ曲」という括りであり、別アルバム・別ミックス・ライブバージョン・他のアーティストのカバーといった様々なバリエーションが含まれるというのがミソ。
一例として「Bold as Love」を選択する。
「Composed by Jimi Hendrix」。
一方でTIDALでは9曲のBold as Loveが見つかった。
John Mayer以外のアーティストによるカバーも幾つかある。
ここで興味を持ってそのアーティストを聴くようになれば、とても素晴らしいことだ。
やはりRoonはTIDALと連携してナンボ。
なお、再生画面の曲名からもCompositionの画面に飛べるようになっている。
総合メニューの「Composition」からは「Performance」(つまり曲のバリエーション)などでソートをかけることもできる。
「Composition」は従来の「Works」からデザインと使い勝手の両面で大幅に改善され、「音楽の海」はさらにその広さと深さを増すことになった。
と、ここまで四つの機能について紹介してきた。
まだまだ山のような更新・追加機能があるのだが、とりあえずライブラリ編はここで終わりにする。
ユーザーからの要望を積極的に吸い上げることで、Roonは際限のない機能強化を行っているようにも見える。この路線は当面変わらないだろう。
とはいえ、別にすべての機能を使う必要はなく、「機能が多すぎて使いこなせない!」と嘆く必要もない。
自分にとって必要な機能だけを上手に使えばいいのである。どれだけ機能が増えたところで、Roonの本質は変わらない。
再生機能編に続く。