WILL I STILL BE ABLE TO ACCESS MUSIC IN MQA AND 360 REALITY AUDIO ON TIDAL?
No. Starting July 24, 2024, you will no longer be able to access music in the MQA or 360 Reality Audio formats via any TIDAL application or integration.
https://support.tidal.com/hc/en-us/articles/25876825185425-Upcoming-Changes-to-Audio-Formats
というわけで、昨年のMQAの経営破綻から続く、TIDALとMQAの関係変化もついに完結。
TIDALはMQAのストリーミング配信を終了し、7月24日以降はFLACのみになる。
MQAの経営破綻のニュースが流れた直後にTIDALは「FLACでのハイレゾストリーミングも始めるよ」と宣言し、昨年中に「TIDAL Max」がスタート。
オーディオ機器にせよ再生ソフトにせよ、TIDAL Maxに対応した製品は(ハイレゾFLACとMQAが両方用意されている音源に関しては)MQAにアクセスすることが不可能な仕様であり、実質的にTIDALの方針は「MQAとの共存ではなくFLACへの完全乗り換え」だというのは以前から明らかだった。それが今回、いよいよ明示された形である。
つい先日、MQAを買収したLenbrookがHDtracksと組んでMQAを使った新しい音楽ストリーミングサービスを始めるというニュースがあり、それについての記事で
ついでにMQAからFLACに乗り換えたTIDALからすれば、MQAの本家本元が新サービスを始めるということで、自分のラインナップに一部残存しているMQAを完全に一掃するよい理由となるだろう。
と書いたが、私もTIDALも考えることは同じだったようだ。
現時点においても、TIDAL MaxにはハイレゾFLACに切り替わらない音源が一部存在するが、
これでようやく、TIDAL Maxのスタート以降もTIDALにこびりついていたMQAの残滓は完全に一掃されることになる。
少々気になるのは「現時点でTIDAL Maxに対応していない(TIDAL Masters対応のままの)製品」の扱いだが、リリースで「via any TIDAL application or integration」と書かれているので、それらの製品は7月24日以降、TIDAL Maxに対応するまでは44.1kHz/16bitの音源のみ配信されるという状況になるだろう。ネットワークプレーヤーを手掛ける各社には早急なアップデートを期待したい。
MQAのDL販売を行っていたe-onkyoは1年以上前から既にMQAの配信を終了している。さらに今回のTIDALの発表。これらを踏まえれば、7月24日からLenbrook × HDtracksの新サービスが始まるまでの期間は、購入して手元に存在するMQAファイル(あるいはMQA-CD)を除き、MQA音源にアクセスすることは非常に困難になる。そもそも音源を手に入れる手段は既に激減しており、今まで聴けていたストリーミングでも聴けなくなり、体験として極めて重要な「新譜をMQAで聴く」という機会はどうしようもなく限定される。新サービスのスタートが遅れれば遅れるほど、この空白期間は長くなる。
Lenbrookに買収されたことで存続の危機を回避したように見えて、実際は「音源へのアクセス」という点で過去最大の苦境に立たされているMQAが今後どのような道を辿るのか、Lenbrook × HDtracksの新サービスの動向も含めて注目である。