RoonがTIDAL Maxに対応、RoonでもTIDALはMQAからハイレゾFLACへ完全移行の模様

RoonがTIDAL Maxに対応

 現地時間1月31日に公開されたアーリーアクセス版(build 1362)で、ついにRoonがTIDAL Maxに対応した。

Roon 2.0 Build 1362 and ARC Build 230 is Live! - Roon Labs

 サードパーティーとしてはLUMINを皮切りに、昨年後半から一線級のブランドが次々にTIDAL Maxに対応したのに比べれば少々遅れる格好にはなったが、Roonがそれに続いたことで、いよいよTIDAL Maxを本格的なオーディオの文脈で楽しむ環境が整ったと言っていいだろう。今回公開されたのはあくまでもアーリーアクセス版だが、じき正式なアップデートも行われるはずだ。

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 こんな感じで、RoonでTIDAL MaxのハイレゾFLACが再生できるようになった。実にめでたい。

RoonのTIDALにおけるMQAの扱い

 今回のRoonのTIDAL Max対応に関して、極めて興味深く、かつ重大なトピックがある。

 RoonのTIDALにおけるMQAの扱い、である。

 
 TIDAL公式アプリや今までTIDAL Maxに対応した製品がそうであるように、TIDAL MastersからTIDAL Maxに移行すると、TIDAL内にMQAとハイレゾFLACで音源が存在する場合、FLACが優先され、MQAにはアクセスできなくなる

 つまり、基本的にTIDAL Max対応に伴って今まで聴けていたMQAは聴けなくなり、ハイレゾFLACに置き換えられる

 これはTIDAL公式の仕様なのだが、今までMQAに価値を見出し、MQAを聴けるからこそTIDALを使ってきたような人からすればたまったものではないだろう。問答無用でMQAが聴けなくなるのだから。

 
 一方、Roonを手掛けるRoon LabsはMQAについて肯定も否定もせず、あくまでも「ユーザー自身が判断しろ」というスタンスで、それを可能にすべくMQAのソフトウェアデコードといった諸機能を今まで提供してきた。

 もしRoonがTIDAL Maxに対応することで、TIDAL公式アプリやサードパーティー製品のようにMQAからFLACへの強制的な移行が生じるなら、それは「ユーザーの判断に任せる」という従来のRoonのスタンスに反することになる。

 そうならないために、RoonはTIDAL Max対応後もMQAとFLACの併存を目指しており、そのために時間がかかっている……

 
 ……と思っていた


 RoonからもMQAが消えた

 
 Roon内の「Master Quality Authenticated albums」、つまりMQAで配信されている(という設定の)アルバムコーナーにおいても、ほとんどのアルバムからMQAバージョンが消えている。MQAロゴの有無でもそれがわかる。その内「Master Quality Authenticated albums」の表記も変更されるだろう。

 RoonでもTIDAL MaxでMQAとハイレゾFLACは併存せず、FLACに完全移行の模様である。

 LINNのように一貫してMQAを否定する立場ならともかく、中立的な立場のRoonでさえこのような状態である以上、もはや工夫の余地もなく、TIDAL Maxに対応することはMQAからFLACへの置き換えを意味するようだ。

 
 上の画像の中のテイラー・スウィフトのアルバムのように、まだMQAで配信されている(ように見える)音源もあるにはある。

 しかし、

Note that some format and version information may be temporarily unavailable or incorrect as updated format information is populated into your library from Roon’s services. Please be patient as we migrate to TIDAL Max, and know that you can always check Signal Path for accurate information about the music you’re playing.

  Roon 2.0 Build 1362 and ARC Build 230 is Live!

 とあるように、現在進行形で情報の更新が行われているようで、

 MQAと表示されるが実際に再生してみるとハイレゾFLACで配信されている音源も存在する。

 で、そのような音源は時間が経つと正常な情報表示になる。

 
 というわけで、現状実際にMQAで配信されている音源についても、「TIDALにMQA版しか存在しない」のでなければ、時間が経てばハイレゾFLACに切り替わると思われる。

 現状では44.1kHz/16bit版しかない『白いノートブック』についても、おいおいハイレゾFLAC版が追加されるはずである。

まとめ

 TIDAL Maxを歓迎していた私のような人にとっては、今回のRoonのTIDAL Max対応は待ちに待ったアップデートである。おそらくTIDAL Maxへの移行に伴う諸々の情報更新が一通り終わった段階で、正式アップデートが来るのではなかろうか。

 
 一方で、Roonからも梯子を外された格好のMQAの現状はこのようになっている。

・TIDAL Maxの開始に伴い、TIDAL公式でFLACがデフォルトに
Roonを含むサードパーティー製品はTIDAL Max対応に伴い、基本的にMQAからFLACに移行
・e-onkyoはQobuzへの移行に伴い、昨年春からMQAの扱いを終了している

 つまるところ、今までMQAの拠り所であったTIDALでMQAが聴けなくなる。この状況は既存のTIDAL対応製品がTIDAL Maxに対応すればするほど進展する。既にMQA音源の入手(ダウンロード購入)自体が困難な状況とあわせ、「MQAの新譜」を聴ける環境自体がなくなっていく。

 MQAを買収したレンブロックはMQAの将来に関して鼻息を荒くしているようだが、頼みの綱のTIDALがこのような姿勢を示している状況で、BluOS搭載製品で奇妙な実装をする以外にどのような策があるのか気になるところだ。

 まさか本当に――DARKOがもしやと言ったような――MQAを使った独自のストリーミングサービスを始める気なのではあるまいな。

 
 

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