Roonの三要素「Core」・「Control」・「Output」

【2024/11/12追記】

 2023年の暮れに、Roonの各要素の呼称が変更されている。

 特に「Roon Core」については、実質的に同内容だった「Roon Server」に統合される形となり、「Roon Core」の呼称は既に公式から消滅している

 この記事自体、かなりRoonの初期に作ったものなので、いずれ更新版を作成する予定である。

【追記おわり】

 

Roon Labs

 Roonの公式HPが刷新され、とっちらかっていた諸々の要素がまとめられているので、ここであらためて紹介する。

 
Roon Ready、Roon Server、Roon Core、Roon Remote

 上の記事とかなりの部分で重複するが、上の記事はRoon Ready……ネットワークオーディオ方面の拡張性に焦点を当てたもの、この記事はよりRoonそのものの仕組みに焦点を当てたものとなる。
 

 まずは公式HPからこちらを参照。わかりやすい図解もある。

How Roon works

 Roon ServerだのRoon CoreだのRoon RemoteだのRoon Bridgeだの、今までRoonなんたらと言っていた諸々の要素は、「Core」・「Control」・「Output」の呼称でまとめられたようだ。詳しく見ていけばまたぼろぼろと出てくるが……

 というわけで、ひとつずつ見ていく。
 

 
・Core

 文字通り、Roonの「核」
 「音楽の海」をもたらすライブラリ機能と、音源の再生機能と、「Output」への音声データ出力を担う。

 ひとつのRoonシステムにつきひとつの「Core」。
 「Core」が機能するPCのRoon(※1)や単体Roon Server(※2)はいわば「母艦」となる。

 HPの刷新によりRoonは「Core」を中心としたソフト・システムであることが明確にされ、メンバーシップの購入ページでも、「Coreひとつにつきこの金額!」と明記された。

(※1)いわゆる全部入りのRoonで、設定で「このPCを音源の管理に使う=Coreを有効化する」・「このPCをリモートコントロールに使う」を選択する
参考:Roon 導入編

(※2)すなわちRoon Serverとして機能するオーディオ機器を指す
参考:Roon Serverの重要性――Roon Readyを本当に活かすために必要なもの
 
 

・Control

 文字通り、Roonの「コントロール」
 「コントロールするためのインターフェース」と捉えればわかりやすいか。
 ここで表示される諸々の情報は「Core」から送られるため、使用する端末によらず共通のユーザー・エクスペリエンスが得られる。

 コントロール機能を担う母艦以外のPC(のRoon)や、スマホ/タブレット用アプリは「Roon Remote」と呼ばれる。

 なお、システムの中で「Core」がひとつなのに対し、「Control」を担うデバイスに数の制限はない。
 
 

・Output

 Roonで一番理解がめんどくさい部分。

 Roonでは「音を出すデバイス」と表現している。
 「再生」という言葉は使いどころが難しく少々アレだが、一般には「再生デバイス」と言ったほうがわかりやすいと思う。

 「Core」が音源の再生(データ処理)を行い、そのうえで「Output」に音声データを出力する。「Core」からのデータを受けて、「Output」が「音を出す」
 物凄く単純に言ってしまえば、「Output」はDAC / DDCに相当する。
 字面的にちょっとややこしいが、「Output」とは「Coreから見た出力先」でもある。

 「Core」と「Control」が「機能」または「役割」であるのに対し、「Output」はどちらかと言えば「機器」の性格が強い。
 一方で、例えばHQ Playerなど、ソフトウェアベースのOutputもある。

 ちなみに、Roonでは複数のデバイス(Outout)に対して同時かつ個別に音楽再生が可能。使う機器次第では同期再生もできる。
 

 あくまで「機器」として見た際の一応の使い分けとしては、

Roon Readyプレーヤー
 最初からオーディオ機器としてパッケージングされたRoon Ready対応機器。つまり、「Roon Readyに対応するネットワークプレーヤー」全般を指す。
 ちなみに「プレーヤー」と呼んではいるが、Roonのシステムで再生機能を持っているのはCoreなので、Roon Readyプレーヤーは実質的に「LAN DAC」として機能することになる。DACを内蔵しなければ「LAN DDC」。

・Roon Bridge
 ユーザーサイドでRoon Bridge(この場合はソフトウェア・パッケージ)をインストールし、RoonのOutputとして機能するようになった機器。主にPCやラズパイ等が該当する。
 もしくは、UPnP/DLNAなどに対応しない=「プレーヤー」としての機能を持たない、RoonのOutputであることに特化したオーディオ製品(そんな製品はほぼ存在しないけど)。「DAC一体型のRoon Bridge」とは、これまた「LAN DAC」のことである。

 とにかくRoon ReadyプレーヤーだろうがRoon BridgeだろうがRoonのOutputであることに変わりはなく、どちらを使ったところで意味は通じる。

 ただ、Roon Readyについては「Roon Labsによる対応機器認証プログラム」という意味もあるため、たとえ機能的には同等だとしても、ユーザーが作った(認証を経ていない)Roon BridgeをRoon Readyプレーヤーと呼ぶことは基本的にない。
 

 各要素のさらに詳細な内容はコチラを参照。
 
 

 で、これらの要素は組み合わせによって以下のソフトウェア・パッケージになっている。

Roon (Core + Control + Output) つまり全部盛り
Roon Remote (Control + Output)
Roon Server (Core + Output)
Roon Bridge (Output)

 

 さらに、「実際に担う機器」ベースで考えると、こうなる。
  
 

・全部入りRoonをインストールしたPC(母艦)
=Core + Control + Output

 ライブラリ機能と再生機能とデータ出力を担い(Core)、それ自体でコントロールでき(Control)、PC本体=内臓のサウンドカードから音が出る(Output)。
 
 

・単体Roon Server(母艦)
=Core + Output

 ライブラリ機能と再生機能とデータ出力を担う(Core)。
 UIを持たない(Controlがない)ため、操作はRoon Remoteから行う。
 一応Outputを内蔵し、本体から音を出すこともできることになっているが、製品の性格上、独立したOutputの使用を前提とする機器がほとんどのようだ。

 また、Roon ServerはOutputを持っているため、ネットワーク内の他の機器でCoreが動いていれば、その時はRoon Readyプレーヤー/Roon Bridgeとして機能する。
 Roon Serverについての諸々はこの記事も参照。
 
 

・RoonをインストールしたPC(母艦以外・※1)
・Roon Remote(アプリ)をインストールしたスマホ/タブレット(※2)
=Control + Output

 Roon(Core)のコントロールを行う(Control)。
 端末それ自体からも音が出せる(Output)。

(※1)出力先のPCにUSB DAC等が接続されている場合、そこからさらに再生デバイスを選択可能
参考:4年以上前のノートPCでRoon Remoteは快適に使えるか?

(※2)iPadは現状出力先として使えない Roon 1.4で使えるようになったぞ!
そしてスマホ版Roon Remoteアプリはただいま開発中 出来ました
 
 

・PC内臓のサウンドカード
・USB DAC / DDC
・AirPlay対応デバイス
・Roon Readyプレーヤー/Roon Bridge(DAC内蔵またはトランスポート)
・その他の対応製品(SqueezeboxとかHQPlayerとか)
=Output

 Coreからデータを受け、実際に音を出す(Output)。
 つまり再生デバイス。DACかDDCかは問わない。
 なお、RoonではOutputとの接続がUSBかLANかは実使用上さして重要ではなく、Roon Readyの単体ネットワークオーディオプレーヤーであっても、あくまでひとつの出力先として扱われる。
 

 
 これらを組み合わせると、こうなる。
 

・RoonをインストールしたPC + Roon Remote端末
=[Core + output] + Control

・RoonをインストールしたPC + Roon Remote端末 + USB DAC
=Core + Control + Output

・RoonをインストールしたPC + Roon Remote端末 + Roon Readyプレーヤー
=Core + Control + Output

・単体Roon Server + Roon Remote端末 + Roon Readyプレーヤー
=Core + Control + Output

 

 Core(再生機能)とControlを独立させることで、Roonは他の再生ソフトがそうであるように、PCとUSB DACのシステムをいともたやすくネットワークオーディオに発展させることができる。
 またRoon Readyのおかげで、Roonの未曽有のユーザー・エクスペリエンスを、音質劣化なしで、単体ネットワークオーディオプレーヤーでも楽しめる。

参考:
ネットワークオーディオの三要素――『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』
全体の流れ――音源の管理運用・システムの構築・実際の音楽再生
 

 Roonでネットワークオーディオを実践するだけなら、必ずしもRoon Readyプレーヤーが必要というわけではない。

 ただしRoon Labsとしては、UPnP/DLNAベースのしょぼくれたユーザー・エクスペリエンスや、便利だが音質の劣化が避けられないAirPlayを引き合いに出し、それらを乗り越えたものとしてRoon Readyの価値を訴求している。ユーザーに対してはもちろん、製品を作る側に対しても、「うちの仕組み採用すれば楽だしいいこと尽くめだよ」という風に。
 また、Roon(Core)のスムーズな動作のためには母艦に比較的強力なCPUが必要であり、CPUの与える悪影響から再生デバイス(Output)を遠ざけるという点でも、Roon Readyの仕組みは有効だとしているようだ。音質議論ほど恐ろしいものはないので、その辺はお手柔らかにお願いしたいものだが。
  
  

 色々と書いてきたが、とにかくRoonは使ってナンボである。
 音源をインポートすれば全自動で魔法がかかるので試すのに手間もいらない。

 是非ともRoonならではの「音楽の海に漕ぎ出す」という体験をしてもらいたいと思う。
 
 

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