懸案だったアナログ電源を手に入れて状況が整ったので、さっそくその2。
決戦編である。
差がありすぎて笑ってしまう。
音質の指標となるあらゆる要素で向上が感じられ、特に低音域では量感の増強・より深い沈み込み・輪郭の明瞭化が同時に実現するという驚くべき効果が得られた。
この差は紛れもなく、「その辺のノートPCよりは音がいいPC」と「オーディオ機器」の差である。これほどの差はかつて試作機で聴いた際には感じられなかったものだ。CPUやメモリといったスペックの差異が音に効いているのか、それともモデルチェンジしたEL SOUNDのアナログ電源の威力なのか。
いずれにせよ、「なんとなくオーディオ用途に良さそう」という要素を片っ端から詰め込んでオーディオ機器たることを目指しただけで、必ずしも純然たるオーディオ機器として作られたわけではないcanarino Filsからこれほどの音が出るとは!
そして、私のシステムにおいて長らく単体サーバーの地位を担ってきたLUMIN L1との激突。SSDへの換装とアナログ電源の使用、迎え撃つLUMIN L1にも抜かりはない。
……
…
音の透明感と響きの繊細さはほぼ互角か、僅かにLUMIN L1に軍配が上がる。
解像感と空間の広さは同等。
低音の表現は圧倒的にcanarino Filsが勝る。繰り返しになるが、アナログ電源の導入による量感の増強・より深い沈み込み・輪郭の明瞭化はL1を完全に凌駕している。充実した低域のおかげで音楽全体から受ける熱量にも大きな違いがある。
ただし量感に関して言えば過剰あるいは暴走気味とも感じられ、無遠慮に空間を埋め尽くして音の透明感や響きの繊細さを損ねていると言えなくもない。求める音の方向性によって適不適はありそうだ。幸か不幸か私のシステムは万年低音不足気味なので、非常に新鮮な感覚で聴くことが出来た。canarino Filsとアナログ電源の組み合わせの音は、単体サーバーとして間違いなくLUMIN L1に比肩する。
また、純粋にサーバーとしての機能を考えれば、canarino FilsはPCとして複数のサーバーソフトを同時運用可能であり、その点の優位性は言うまでもない。
総じて、canarino Filsは単体サーバーの原器としての実力を見事に証明した。
さて、これでLUMIN L1の立ち位置が少々微妙になってしまったわけだが、LUMIN L1には単体サーバーとは別の使い道も残されている。
「超豪華なUSBストレージ」としての使い道である。
たとえサーバーとして使わなくなったとしても、LUMIN L1のオーディオ機器として作り込まれたハードウェアや、純粋なストレージとしての価値が損なわれることはない。その辺のUSB HDDとは最初から発想の次元が違うのである。
例えばexaSound PlayPointのようなストレージ非搭載のミュージックサーバーはストレージ接続用のUSB端子を備えているので、LUMIN L1にしてみれ最高の活躍場所となる。単純にストレージとして使うだけなら、NASを使うよりもUSBストレージを繋ぐ方が遥かに手っ取り早い。今後この手の製品を試す際はLUMIN L1をストレージとして使ってみたい。