前々から疑問だった。
アプリの挙動に影響するものはライブラリの中身やデバイスの性能だけではないはずだ。
今まで使っていたWi-FiルーターはBuffalo WZR-HP-G450H。
家のネット回線は100Mbps止まりだし、ルーターの有線ポートはギガビット対応だし、実用上は何も問題はなかった。
ただ、iPad Air 2が11acに対応しているということで、にわかに「Wi-Fiの速度はコントロールアプリの挙動にどう影響するか」という前々からの疑問が無視できないほどに膨らんでいった。
コントロールアプリの検証が一向に進まなかった原因の一端はここにある。
iPad Air 2のスペックをフルに活かせていない状態で速度の計測をしたところで、はたして本当に意味があるものなのかどうかと……
やる気を出してようやく導入。
ネットワークオーディオにおける快適さの向上を第一目的としてルーターを買い換える人間もそうそういるまい。
Buffalo WXR-1900DHP。
特にWi-Fiルーターにこだわりは無いので、今までと同じBuffaloの一番強そうなモデルを選んだ。
そして早速、11acの威力がいかほどのものか試してみた。
レスポンスも含めた速度計測は個別の機会に譲るとして、まずは各アプリにおける速度差の最大要因となっているアルバムアートの表示は高速化するのか否か。
コントロールアプリの速度計測レギュレーション2014、アルバムスクロール完走を行う。TS-119の中身の音源は当時から何も変わっていないため、限りなく純粋にWi-Fiの速度による差を比較できる。
LUMIN Appはルーターを替えるまでもなく、既にアルバムアート表示のタイムラグゼロを実現しているので、ここでは使う意味がない。
というわけで、使用したアプリはKinskyのiPad版。
アルバムスクロール完走では所要時間390.7秒というかなり悲惨な結果となったが、11acではどうだろう。
念のため、遥か昔から続く例のトンキー病を発症していないことも確認している。これに罹患していると画像をしょぼくれた解像度でしか扱わなくなるため、問答無用で表示が早くなってしまう。
どれだけ設定を書き換えても、気を抜くと未だに姿を現す奇病なのでたちが悪い。対処法が確立されていることだけが救いである。
結果。
1回目:177.8秒
2回目:173.2秒
大幅に速くなった。
素晴らしい。
Kinsky以外のアプリではどうかということで、PlugPlayer(iPad版)でも計測してみた。
ちなみにサーバーにはPCのTwonky Server、音源には最新のライブラリを使用した。アプリには悪いが、アルバムアート的にはさらに重くなっている。
まず、あらかじめ前のルーターで計測した結果。
1回目:129.8秒
2回目:140.9秒
この時点でKinskyより圧倒的に速いのが何というか……
LINNもっと頑張って。
そしてルーター交換後、11acでの結果。
1回目:28.3秒
2回目:31.5秒
爆速である。
さすがにLUMIN Appの盤石さには及ばないが、アルバムアートの表示で「待たされる感」はほとんどない。
第3世代のiPadの登場に伴い、最高に美しいライブラリを作ろうと思い立ってから、可能な限り高い解像度の画像をアルバムアートとして音源に仕込み続けてきた。その結果、私のライブラリは死ぬほど重くなり、一般的には高速とされるアプリでさえ悲惨な挙動となってしまった。LUMIN Appのおかげで救われたが。
時代は流れ、コントロールデバイスはiPad Air 2になり、さらにWi-Fiは11acになった。
デバイスとWi-Fi双方の進化により、ついに私の激重ライブラリに対しても、コントロールアプリは往時の……最初期にChorusDS HDを導入したあの瞬間のきびきびした動作を取り戻したようだ。
PlugPlayerを使っていてなんだか妙に感動してしまった。
Wi-Fiの速度はコントロールアプリの挙動にどう影響するか。
少なくとも、アルバムアートの取得・表示速度に大きな差が出る。
特に、私のように奇異な心がけをもってライブラリを構築している身からすれば、11ac対応Wi-Fiルーターを導入した甲斐は大いにあった。
速さは正義である。