「ネットワークオーディオとは音楽再生におけるコントロールの方法論である」と言っているのも、「ネットワークオーディオの本質はコントロールである」と言っているのも、「ネットワークオーディオの実践に必ずしも単体プレーヤーは必要ではない」と言っているのも、「PCを使わないことがネットワークオーディオなのではない」と言っているのも、他ならぬ私自身である。
『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』の三要素から成り、さらにネットワークを用いて再生機器からコントロールを独立させているのがネットワークオーディオのシステムであり、スタイルである。
単体ネットワークオーディオプレーヤーやNASの使用はネットワークオーディオの実践をそれ自体では意味せず、ネットワークオーディオをネットワークオーディオたらしめるものはあくまでもコントロールである。
「コントロール」という要素からネットワークオーディオという認識の領域を押し広げた結果、再生ソフトとUSB DACを用いるいわゆるPCオーディオのシステムも、サーバーとプレーヤーの機能を併せ持つミュージックサーバーを用いるシステムも、等しくネットワークオーディオの文脈で捉え、扱い、理解し、楽しめるようになった。
ネットワークオーディオとは特定の再生機器に限定されるものではないのである。
しかし、はじめて私にネットワークオーディオの何たるかを示してくれた「単体サーバーと単体ネットワークオーディオプレーヤーを個別に用意するシステム」への思い入れが完全に消えたわけではなく、いわば「純粋なネットワークオーディオ」とでもいうべきものへの憧憬は厳然として在り続ける。
というわけで現在、機能・音質ともに魅力的な機器が数多ある中から今後のシステムの方向性を模索する過程で、こんな組み合わせを試している。
まるで憧れが形になったかのようなシステムだ。
ん?
fidataにはUSB出力、DSP-DoradoにはUSB入力もあるって?
それは……ほら……fidataはあくまでもサーバー用途がメイン(と信じたい)だし、DSP-DoradoのUSB入力はあくまでもオプションだから…………