4月12日にTIDALのCEOが「HiFi Plusプラン加入者向けにハイレゾFLACを近々導入する予定」と明言してから4か月弱。
本日(2023年8月3日)の時点で、TIDALでハイレゾFLACでの配信が始まっている。
「HiFi Plus」プランにて、HiRes FLACの存在を確認。
本当に日本でやる気があるのかないのか依然としてはっきりしない、それでも一応日本語化されているTIDALのHPでもハイレゾFLACの記述がある。翻訳で音質と音量をごっちゃにして、さらにそれを放置しているあたり、前途多難なのは間違いないが……
というわけで始まったTIDALのハイレゾFLACストリーミングだが、現状は必ずしも万全と言えるものではなさそうだ。
まず、TIDAL公式のデスクトップアプリでは設定の「Audio quality」から「Max」を選べるようになっている。MQA時代ではどんな項目だったかもはや覚えていないが(「Master」だっけ?)、今後はこの「Max」がTIDALにおいて最高品質(ハイレゾFLAC)を指すようだ。
すなわち、MQA時代の「TIDAL Masters」を踏まえれば、TIDALにおけるハイレゾFLACのストリーミング配信は「TIDAL Max」と表現されることになる。
TIDAL公式アプリでアルバムを開くと、ハイレゾFLACで配信されているアルバムについては「Max」のアイコンが表示されている。
が、間違いなくハイレゾFLACで配信されているにもかかわらずMaxアイコンが表示されないアルバムもあり、謎。ちなみに海獣の子供もYesの新譜も両方96kHz/24bitである。
さらにアレな点として、TIDAL公式アプリからは、「Max」アイコンが表示されるだけで、実際の音源のスペックを確認する術がない。
(※これについては単に私が見つけられていないだけの可能性もある)
かといって画面下部のMaxアイコンも、単にストリーミングの設定を表示するだけ。
それでも私がデスクトップで使っているNEO iDSDの画面を見ると、間違いなく96kHzで再生できていることがわかる。
まぁ、「いちいちフォーマットなんて気にしてないで聴くことに集中しろよ!」というTIDALの主張なのかもしれないが。
もうひとつの注意点として、TIDALのハイレゾFLAC配信は、現状TIDAL公式アプリ以外の製品では対応しない/MQAのままになっているようだ。
例えばRoonでは未だにMQA版が配信されているし(ただ表示情報が更新されていないというわけではなく、実際にMQAで配信されている)、
Taktina × DST-Lepusでも、ハイレゾ版が流れてきている様子はない。
【2023/08/06追記】
TIDAL本国のサポートで今回のハイレゾFLAC配信についての記事が公開されている。
Which devices can play HiRes FLAC available?
Currently, HiRes FLAC is only available streaming directly from iOS, Android, Desktop or Web. TIDAL Connect, Sonos, and Chromecast support are coming later in 2023.
https://support.tidal.com/hc/en-us/articles/17412130162961-HiRes-FLAC-and-new-audio-quality-levels
というわけで、Roonやネットワークプレーヤーに組み込まれているTIDALでいつハイレゾFLACが聴けるようになるかは現状では不明。TIDAL Connectやその辺と同時に対応するのだとしても、とりあえず今年の後半にはなるようだ。
【追記おわり】
MQAからハイレゾFLACへ。公式アプリ以外の対応製品まで変化が完了するまでには少々時間がかかるのかもしれないが、とりあえずTIDALの本気は示された。
Qobuzもいよいよ日本でサービスが開始されるようだし、Amazon Musicも含めて、ハイレゾFLAC(192kHz/24bit)という同じ土俵に各ストリーミングサービスが出揃うというのは、ユーザーからするとたいへんありがたい話である。聴きたい曲を選ぶために音質を犠牲にする、なんて必要がなくなるのだから。
もっとも、そうなったらそうなったで、「音の良いサービスはどれだ」なんて話がすぐに始まってしまうのが、オーディオファンの業の深さなのだが……
【2024/06/19追記】
TIDALでのMQA配信が終了。
【追記終わり】