現状で手持ちのUHD BD15本のレビューを終えたので、記事タイトルの問題と向き合ってみる。
あらためて画質音質の評点を確認してみると、
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』 画質:14 音質:14
『デッドプール』 画質:11 音質:11
『キング・オブ・エジプト / GODS OF EGYPT』 画質:11 音質:13
『パシフィック・リム』 画質:13 音質:15
『X-MEN: アポカリプス』 画質:14 音質:14
『クリード チャンプを継ぐ男』 画質:10 音質:10
『アメイジング・スパイダーマン2』 画質:11 音質:15
『インデペンデンス・デイ』 画質:9 音質:13
『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』 画質:9 音質:8
『マン・オブ・スティール』 画質:14 音質:14
『エクソダス:神と王』 画質:12 音質:12
『チャッピー』 画質:12 音質:14
『ローン・サバイバー』 画質:11 音質:11
『Sicario / ボーダーライン』 画質:15 音質:13
『レヴェナント: 蘇えりし者』 画質:15☆ 音質:10
……点数を付けている私が言うのもアレだが、基本10点満点の評価でこの有様なので、完全なインフレを起こしている。
そもそも2007年に発売された『007 カジノ・ロワイアル』のBDが画質・音質ともに10点満点の基準なのだから、特に画質はインフレを起こしても仕方がない気もするが。
画質については、4K/HDRディスプレイが無くとも=既存のフルHDディスプレイであっても、既発あるいは同梱のBDと比べて向上が感じられるものがほとんどである。「ほとんど」と書いたのは、『パシフィック・リム』や『ローン・サバイバー』のように、完璧だったBD版と比べてフルHD環境化では明らかな劣化が見られるものもあるからだ。
HDRが対応するディスプレイで見た際にどのような効果を発揮するかは今のところ想像するしかないが、非対応の……フルHD/SDRディスプレイで見ても、BDと比べてUHD BDは暗部/明部階調の粘りや高輝度領域での色彩の豊かさなど、一般に「HDRの効果」とされている恩恵を受けられることは興味深い。
『バットマンvsスーパーマン』や『X-MEN: アポカリプス』など、最初からUHD BDでリリースされるタイトルはフルHD環境下においても非常に素晴らしい画を見せる。しかし、『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』のように、新作であっても期待外れなタイトルも存在するため、やはり『UHD BDならば確実に超高画質』ということにはならない。
現時点で私が目にした「最も高画質なUHD BD」は『レヴェナント: 蘇えりし者』であり、4K/HDRディスプレイを導入して【UHD BDレビュー】の評価基準を4K仕様に刷新する際には、レヴェナントを画質評価10点満点の基準にしようと思っている。
音質については、そもそもBDの時点で音声仕様が完成されているため特に言うことはない。
ただ、「Dolby Atmos/DTS:XはUHD BDにしか収録しない」ということがソフトメーカーの間で現に行われている以上、事実上UHD BDは音質においてもBDに対して有利性があると言わざるを得ない状況にある。でもって、『マン・オブ・スティール』や『チャッピー』など、チャンネルベース音声からオブジェクトベース音声になったことで音質を向上させたタイトルも現に存在する。
画質面ではフルHD/SDRディスプレイでも、ほとんどの場合でBDに比べて画質の向上が得られる。
音質面ではBDに比べて音声仕様の面で有利なことが多い。
よって、「4K/HDRディスプレイが無くともUHD BDの恩恵を受けられるか?」という問いに対する私の答えは、画質と音質の両面で「受けられる」である。
特に売り方で色々と納得できない点はあるにせよ、私の場合はそもそも「高画質と高音質は大好きな作品の鑑賞をもっと面白くする」ということでオーディオ・ビジュアルの趣味をやっているのだから、状況(もとい懐具合)が許すなら、UHD BDを買わない理由もない。
今後は『グラディエーター』や『キングダム・オブ・ヘブン』といった、フィルム撮影のタイトルの4KリマスターによるUHD BD化にも期待したいところだ。
ただただ、ソフトメーカーにはユーザーの期待を裏切ることなく、「決め打ちとなる最後の映像メディア」としての誇りをもってUHD BDをリリースしてほしいと願うばかりである。