LUMIN A1を導入して半年が経過した。
上記レビューでは触れられなかった部分について、半年間の付き合いを経て分かったことを書いていく。
○安定性
ネットワークオーディオプレーヤーはその特性上、数あるオーディオ機器の中でも、機能的には極めてコンピューターに近い。そして、その動作にはいかにもコンピューター的な不安定さが付きまとう。
私の知る限り、ネットワークオーディオプレーヤーと言えば、コントロールアプリでの操作に反応しなくなるなんてのは日常茶飯事だし、そもそもアプリから肝心のプレーヤーを見つけられなくなるなんてのもしょっちゅう。挙句完全にフリーズし、アプリどころかハードリモコンからの操作も利かなくなり、主電源を落とす羽目になるなんてこともざら。
以前使っていたMAJIK DS-Iでさえ、だいたい2ヶ月に一度くらいは完全に動作不能に陥り主電源を入れ直していたくらいだ。
「はいはいまたきたね」くらいの心の余裕をもって対処できれば済むのだが、残念ながらネットワークオーディオプレーヤーなんて得てしてこういうもんだと知らないユーザーにとっては恐ろしいことこの上ない。メーカーサポートはパンクだ。「そちらの環境に問題がある」という対応で押し通すのも限界がある。そして破局を迎える。
では、LUMIN A1はどうか。
驚くなかれ、この半年間、ただの一度もフリーズしたことはないし、少なくともコントロールの局面において、何らかの機能不全に陥ったこともない。
ちなみにLUMIN S1の試聴機を迎え入れた時やファームウェアップデートなど、今まで数回電源を入れ直しただけで、基本的に電源は常時入れっ放しである。それでいてなおこの安定性。
アプリとの連携も盤石の一言。ただの一度も両者の接続が切れたことはない。
たいしたものだ。
○アップデートに対するメーカーの姿勢
ファームウェアの更新はコンスタントに続けられており、不具合は逐一潰されている。
例えばLUMIN S1は発売当初、色々と不具合を抱えていたりしたのだが、言ったらすぐ直った。
DSD再生についても間を置かず直った。
あと、LUMIN Appについて「こんな風になったらいいな」と言ったら、実際にそうなった。しかもさらに速くなった。
ver.3.0以降、アプリにとある不具合を抱えていたのを、特に指摘もせずにどうなるか見ていたら、今日直った。
ファームウェアをアップデートしてバグフィックスを行うのは当然としても、残念ながらアプリの更新は完全放置か、あるいは更新すれども根本的な改善をまったくできていないメーカーが大多数というのが現状だ。というより、LINN以外のすべてのメーカーはその点において落第だとLUMINに出会うまで考えていた。ChorusDSやSongBook Liteなど、サードパーティー製にして真打となるべきアプリも、完全に更新が止まってしまっている。両者ともにRetina対応すらしていないという有様だ。
しかしLUMIN Appは違う。ver 1.○○の時点でChorusDSに匹敵する使い勝手を実現していたうえに、ver 2.○○、ver 3.○○と更新を続け、さらに使いやすく、さらに速く進化し続けている。
この姿勢は本当に素晴らしい。そもそもネットワークオーディオプレーヤーとは決して「ハードを作って終わり」ではないのだから、ソフトウェア面でのアップデートに対するメーカーの姿勢はもっと注目されるべきだし、評価の対象にされるべきだと思うのだが。
○LUMINファミリー
A1を導入する時点ですぐにわかっていたことだが、S1が出た。→【インプレッション】LUMIN S1
ES9018を四基搭載、DSD 5.6MHz対応、外部電源もさらに強化という現行機最強のスペックを引っ提げて登場したLUMINのフラグシップは流石の一言。これなら「S1が出るまで待つ!」と言っていた人も満足だろう。
下位機種にあたるT1、D1も発表された。既にT1は出荷されているのかな? しかし公式HPからD1が消えた。なかったことにされたか、それともリリースが大幅に遅れて一旦下げられたのか。なんにせよ、LUMINというネットワークオーディオプレーヤーのプラットフォームの完成度は申し分ないので、ラインナップが増えることはいいことだ。単に安物を出せばいいというわけでもないが。
L1の名を冠したサーバーも登場した。→【インプレッション】LUMIN L1
機能的にはツッコミどころ満載、もとい未完成としか思えないという有様だったが、それらを吹っ飛ばして余りある謎の高音質ぶりを見せ付けた。A1→S1の変化より、L1を導入した変化の方が遥かに大きいという正体不明のポテンシャル。
LUMIN A1の筐体やアプリの完成度から、LUMINというブランドあるいはPixel Magic Systemsというメーカーは、実に正統派のオーディオマインドと傑出したソフトウェア開発力を持っているとは思っていた。そしてそれだけでなく、実際に高音質の製品を作り上げるだけの技術とセンスも併せ持っているようだ。また、「一発屋ではなかった」という証明も、ユーザーにとっては安心材料となろう。
半年間LUMIN A1と過ごしてきた。
日々音楽を聴くうえで、LUMIN A1を使っていて不満を覚えることは何一つない。
次はどんな進化を遂げるのだろう。
……とりあえずL1をまともにNASとして機能させることからかな。