コントロールアプリ「Taktina」登場間近――ITF-NET AUDIO採用製品でストリーミングサービス(TIDAL/Qobuz/Amazon Music)が利用可能に

 情報を出していいということになったようなので、私も知り得る範囲と出せる範囲で出す。

「ITF-NET AUDIO」とは

 「ITF-NET AUDIO」とは、インターフェイス株式会社が開発したネットワークオーディオのソリューション/プラットフォームであり、ハード(モジュール)とソフトの両輪で構成される。

【ネットワークオーディオの基礎知識】ネットワークオーディオの「プラットフォーム」ネットワークオーディオプレーヤーにおける世代間断絶と、本当に求められるもの  上の記事で、  ネットワークオーディオプレーヤ...

 ITF-NET AUDIOは以下の通り。

■UPnP/DLNAに加えてOpenHomeに対応
Roon Ready対応
Diretta対応
■リニアPCM768kHz/32bit・DSD512再生対応

  このように、ITF-NET AUDIOは純粋なネットワークプレーヤーとして現状最高度のスペックを実現する。さらに操作レスポンスも爆速という、優秀なネットワークオーディオのソリューションである。インターフェイスに先行して、世界にはいくつかのネットワークオーディオのソリューションを提供しているベンダーがあるのだが、ITF-NET AUDIOのスペックはそれらを(少なくとも純粋なネットワークプレーヤーとしての側面においては)凌駕している。

 ITF-NET AUDIOそれ自体はあくまでもソリューションであって完成品ではないので、メーカーがこのITF-NET AUDIOを採用/搭載することで、上記の性能を有するネットワークオーディオ製品が出来上がるというわけだ。

 以上の点から、私はITF-NET AUDIOに対し「世界に羽ばたく国産ネットワークオーディオ」的な意味でも大きな期待を持って、今までも何度か紹介してきた。

「ITF-NET AUDIO」評価ボードがやってきた&試用レポート - ネットワークオーディオの未来は明るい!前回:「ITF-NET AUDIO」登場、国産ネットワークオーディオプレーヤーは新時代へ https://youtu.be/0Kn...

ITF-NET AUDIOが抱えてきた課題

 一方で、ITF-NET AUDIOはネットワークオーディオのソリューションとして、二つの大きな課題を抱えていたことも事実。

 一つ目は、「独自のコントロールアプリを持たない」こと。そして二つ目は、「ストリーミングサービスに対応しない」ことである。

 
 もっとも、「独自のコントロールアプリを持たない」という点については、とりあえずローカルの(つまりユーザー手持ちの)音源を聴くだけなら、そこまで大きな問題ではない。

 ITF-NET AUDIO/それを採用する製品はOpenHomeを含むUPnP村の住人なので、Kazooやfidata Music Appといった汎用アプリを十全に使用可能であり、Roon Ready対応なのでそのままRoonと連携可能であり、Diretta対応なのでJRiverといったPCの再生ソフトと連携可能であり、手持ちの音源を聴くうえでは、使い勝手の面で特に困る部分はない。

 よって、実際に問題なのは「ストリーミングサービスに対応しない」という点といえる。2020年に登場したネットワークオーディオのソリューションとしてストリーミングサービスに対応しないというのはなかなかにストイックな仕様で、インターフェイスもさすがにこれじゃいかんというのは重々承知しており、ITF-NET AUDIOの登場当初から「バージョンアップによるハイレゾストリーミングサービスへの対応」と表明はしていた。

 「Roonと組み合わせればTIDALもQobuzも使えるじゃん」と言えば確かにその通りなのだが、「すべてのユーザーに製品を買わせたうえで、さらにRoonに出資させるのはいかがなものか?」という至極真っ当な考えもある以上、特にTIDALとQobuzの2種のストリーミングサービスに、製品がネイティブに対応することもまた、求められて然るべきである。

 メーカーが自社製品用にアプリを用意することは、まさにこの文脈で重要になってくる。機能としてストリーミングサービスに対応する製品をお出しする以上、きちんとローカル音源とストリーミングサービスの両方を扱える純正アプリを提供するのは、ある意味で当然のことだからだ(ぶっちゃけOpenHomeならそれすらも汎用アプリでどうにかなるけど)。

 というわけで、ITF-NET AUDIOが独自のコントロールアプリを持つとすればそれはストリーミングサービスに対応する時であり、ストリーミングサービスに対応するとすればその時はなにかしら独自のコントロールアプリが求められる。

 そして、その時がやってきた。

ITF-NET AUDIOのストリーミングサービス対応と、コントロールアプリ「Taktina」

 2022年の年末、いよいよITF-NET AUDIO(を採用するSFORZATOとSOULNOTEの製品)がストリーミングサービスに対応し、あわせて独自のコントロールアプリ「Taktina」がリリースされる。

 この記事でも触れられているように、ITF-NET AUDIOのストリーミングサービス対応でここまで時間がかかったのは、「Amazon Musicにも対応する」ことを目指したというのが大きい。TIDALとQobuzだけでいいなら、ここまで時間はかからなかったはずだ。

 結果的に時間を要したことは確かだが、LINNもLUMINも未だに対応できていないAmazon Musicに対応できたというだけでも、素直に評価されて然るべきだろう。現時点でITF-NET AUDIOを製品に採用しているのはSFORZATOとSOULNOTEの2ブランド。現状Amazon Musicに対応する製品は比較的手頃な価格帯の製品に限られ、AURALiCも日本に入ってきていないため、これで一気に「Amazon Musicをハイエンドな製品で楽しむ」道が開かれる。

 また、特にTIDALもQobuzも一向に始まらない(後者はようやく始まるのかと思えば妙な展開になっている)日本においては、Amazon Musicに対応することの恩恵はますます、著しく大きい。

 そして「ネットワークプレーヤーでAmazon Musicを扱える汎用アプリが存在しない」以上、独自のコントロールアプリは必須であり、それが「Taktina」である。いわば、TaktinaはITF-NET AUDIOというネットワークオーディオのソリューションを構成する最後のピースでもある。

 
 現時点でもアプリのUIは安心できそうだ。



 SongBook・ChorusDS・LUMIN Appと同じく、タブレット版は「左にプレイリスト、右にブラウズ領域を配置し、プレイリストは常時表示」という実際の音楽再生において理に適ったデザインになっているのがポイント高し。

 デザインやらレイアウトやらで詰め切れていない感はあるものの、実使用における操作性は問題なさそうである。

 
 ただし、Taktinaにはリリースの段階では大きな問題がある。

 「ストリーミングサービスの音源しか扱えない」のである。

 つまり、ローカルの音源を聴く時と、ストリーミングサービスの音源を聴く時で、別々のアプリを使い分ける必要が出てくる。

Taktinaのこれから

 そう遠くない将来リリースされるであろう「Taktina」は、とりあえずリリース段階では「ストリーミングサービスの音源しか扱えない」という点で、今までのネットワークオーディオのコントロールアプリの観点――ローカルの音源もストリーミングの音源も一元的に扱えるのが当たり前――からすれば、言葉を選ばなければ「未完成」と言わざるを得ない。

 とはいえ、ネットワークオーディオのソリューションとして最高度の仕様を持つITF-NET AUDIOが、TIDALとQobuzだけでなく、未だにハイエンドのオーディオ機器で対応例が極めて少ないAmazon Musicにアプリ込みで対応したのは、オーディオファンとしてもユーザーとしても素直に、そして心から喜ぶべきことだ。

 「ITF-NET AUDIO採用製品ではAmazon Musicが使えます」。素晴らしい。待ってましたと快哉を叫びたい。

 もちろん、インターフェイス自身「コントロールアプリはローカルの音源もストリーミングの音源も一元的に扱えるのが当たり前」ということは認識しているので、その辺りは今後のアップデートを待つことになる。当面、ITF-NET AUDIO採用製品のユーザーは「ストリーミングサービス(特にAmazon Music)の音源はTaktinaから、ローカルの音源は他のアプリから」という運用が求められるが、既に「聴きたい曲が決まっている時はOpenHome対応アプリから、ストリーミング含めてだらだら聴きたい時はRoonから」という運用をしている私のようなユーザーからすれば、たいして異質な使い方ではない。

 先述したように、私はITF-NET AUDIOに「世界に羽ばたく国産ネットワークオーディオ」的な意味で大きな期待を持っている。その最後のピースともいえるTaktinaは生まれたばかりで、私が現状知り得ている範囲だけでも進化や改善の余地は数多く見つかる。

 かつて存在した傑作である「SongBook」や「ChorusDS」、現状トップクラスの完成度を持つ「LUMIN App」や「Lightning DS」や「LINN App」も、必ずしも最初から完成されていたわけではない。そもそもの時点で「コントロールアプリとして正しいコンセプトを持っていた」ことは前提としつつ、より良いアプリを目指して不断のアップデートを続けてきたこともまた、間違いなく今の評価に繋がっている。そしてTaktinaにも、そうした姿勢を願っている。

 ITF-NET AUDIOはインターフェイスというサードパーティーの提供するソリューションであり、特定のメーカーが自社用に構築したプラットフォームとは異なる。すなわち、あらゆるオーディオメーカーが、製品を作るうえでITF-NET AUDIOを利用することができる。そしてその先にあるのは、次のような仕様を備えた製品である。

■UPnP/DLNAに加えてOpenHomeに対応
■Roon Ready対応
■Diretta対応
■リニアPCM768kHz/32bit・DSD512再生対応
■音楽再生のレスポンス優秀
■TIDAL対応
■Qobuz対応
■Amazon Music対応
■純正アプリの用意あり
■今後も継続的にアップデート

 
 ITF-NET AUDIOが登場したタイミングでも言ったが、もういちど言う。

 ネットワークオーディオの未来は明るい

 その光明が、日本から生まれることの喜ばしさよ。
 
 

2021→2022 ネットワークオーディオはもはや「オーディオの未来」ではない ネットワークオーディオが今に到るまでどのような経緯を辿ってきたのか、という大まかな流れに関しては以下の対談動画でユーザー視点から語って...
【ファイル再生の基礎知識】まとめ 音源管理からネットワークオーディオの実践まで いわゆるPCオーディオでも、いわゆるネットワークオーディオでも、両者の根幹には共通して、『デジタル・ファイル音源』が存在する。 ...
各種レビュー/インプレッションまとめ Roon関連機器(Roon Server/Roon Readyプレーヤー)は別記事で紹介している。 プレーヤー/DAC/...
【Roon】関連記事まとめ 音楽愛好家のための「総合音楽鑑賞ソフト」、Roon。  「聴くだけにとどまらない多面的な音楽の楽しみ」が得られることから、私は単...
【ファイル再生の基礎知識】よくある質問と検索ワードへの回答 随時更新予定。  むしろ質問があったらどしどし言ってくれると嬉しい。     とりあえずいつもの: 【音源管理の精髄】 ...